長妻昭厚生労働相は、売却方針が決まっていた全国の社会保険病院(53カ所)と厚生年金病院(10カ所)を新機関に移行させ、公営で維持する方針を固めた。関連法案の臨時国会提出に向け、すでに検討を指示。地域医療の中核拠点を維持するため、全病院売却という自公政権時代の政府方針を大きく転換することにした。 社保病院は中小企業向けの旧政府管掌健康保険(現・協会けんぽ)の保険料で、厚生年金病院は公的年金の保険料で整備されてきた。しかし、保険料を使ったレクリエーション施設の整備などが「無駄遣い」と批判され、小泉政権時代の02年に保険料による施設建設は中止。それを受けて両病院も整理合理化の方針が決まった。 その後、整理合理化計画を策定する予定だったが、社会保険庁の不祥事が相次ぎ、策定は遅れた。昨年10月、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に社保病院と厚生年金病院の管理を移管。今年3月