「古生代の謎の化石を研究したい」と大学の推薦入試の面接で答えてから早いもので10年以上が経ちました。紆余曲折もありましたが、大学で出会った方々のおかげで、幼いころに憧れた太古の貝化石を研究する職業に就くことが出来ました。人生の三分の一にあたる10年間を過ごした筑波大学での経験とつながりの一部が、学生の皆様にとって何かの参考になれば幸いです。 太古の貝に魅せられて 幼少期は海に囲まれて育ったためか、4歳のころから貝に興味をもつようになりました。特に私を夢中にさせたのはサザエなどの巻貝で、「あんなにグルグルとなんで巻いているのか?」と形の魅力にとりつかれてしまいました。貝を拾いながら月日は流れ、幼いころに抱いた疑問を知るには出現初期の太古の貝の形を調べればいいのではと考えるようになり、生きている貝だけでなく化石にも魅了されていきました。特に貝化石の中には、顕著に巨大化したものや殻の形すら分かっ