米国は三重苦に陥っている。ガザ戦争、ウクライナ戦争、中国との対決だ。1970年代の中東戦争はソ連を没落させる引き金となったが、今回のガザ戦争はどのような結果をもたらすのだろうか。 アフガニスタンが帝国の墓場だとすれば、中東も同じだ。 英国は第1次世界大戦後、南アフリカ共和国の喜望峰からインドまでを結ぶ大英帝国の版図を確かなものとするために、パレスチナにユダヤ人国家を許容し、中東を分割した。しかし、イスラエル建国にともなうパレスチナ紛争は、中東における英国の影響力を喪失させた。英国は1956年のスエズ運河危機で勃発した第2次中東戦争に介入し、完全に帝国の一員から脱落した。 ソ連も、1973年10月6日にエジプトなどのアラブ諸国の先制攻撃で始まった第4次中東戦争であるヨム・キプール戦争で勃発したオイルショックによって、没落の道を歩むことになった。イスラエルを支援した米国などの西側諸国に対し、サ