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ブックマーク / note.com/320_42 (74)

  • ギャグは嘘ではない(むしろマジ)|水野しず

    最近、「ギャグ」って一体、なんなんだよってことをよく考える。 なんでかというと、日常会話が噛み合わなくて、なんだか決定的に取り返しがつかないことになっているときは大体、ギャグの対応に失敗しているからだ。「ギャグ」は、会社組織や農協など、いかにもシャカイ!という感じの場に所属して、社会の構成員としての役割を果たしている意識が強い人が言ってくることが多い傾向にあるように思う。地元に帰省すると、贈答品の箱を渡してくる年配の方が、 「ダイナマイトやで」 など、突発的にギャグを発表してくることがある。これには大いに困る。 自分が悪いのだが、まず真っ先に「嘘じゃん」と思ってしまう。 その次に「つまらないものの風刺としてダイナマイトと表現するセンスには光るものがあるけど、内実のつまらなさの根解決には達していない」とか思ってしまう。三番目に自分の性格が悪い(悪い形で表現されてしまっている)ことを意識して

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    kiku72 2024/07/29
  • 女の話はつまらないのか|水野しず

    ・女の話はつまらない SNS上で「女の話はつまらない」という意見が話題になっていた。結論から言うと「人による」としか言いようがないので、こんなことを気で言っている人物はバカである。 バカとはどういうことなのか。 人間は自分が置かれている狭い環境の中で対自した少ない経験則からなにか普遍的な法則を見出したような気分になることが多い。これをアブダクション(仮定推論)と言うらしい。 たとえばパチンコをやってビギナーズラックを引き当てた人物は「パチンコ=儲かる」という推論をしてしまい、得をしたいと思いながらトータルで見た場合には高確率でお金を損し続けるということが起こる(実際には得をしたいのではなく損をすることが分かりつつ楽しいからやっているだけだから認識に大きな齟齬はない)。 マッチングアプリをやっている男性は「女は金銭目的」という推論を行うし、女性の場合は「男は性行為目的」という推論を行う。パ

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    kiku72 2024/05/26
  • 無関心の世界|水野しず

    以前、 「人の話をちゃんと聞くよりも、相手の欲しい反応をするほうが得ですか?」 という質問をいただいたことがあります。 ただこれだけのシンプルな問いかけがずっと心から離れませんでした。 質問の内容よりもこういった質問が生じてしまう背景にはどのような考えがあるのか気になってしまったからです。 どうして気になるのでしょうか。 質問者は相手のために何かをする気持ちがあるし、その行為によって自分もまたいい感じになりたいという(一見)前向きな動機があるにも関わらず、結果的には無駄な骨折りにしかならないことを試みているようで不可解だったからです。 ・「得をしたい人」のやっかいさ 問いの内容に立ち返って考えてみると、 ⑴ちゃんと聞く ⑵(話の内容に深く立ち入らず相手にとって)欲しい(と思われる)反応をする これはどちらでもいいんじゃないかと思います。 というより、どっちをやったにせよ相手にとって「うっす

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    kiku72 2024/05/06
  • アンパンマン=片岡鶴太郎説|水野しず

    宝石業界にはビーフブラッドよりもピジョンブラッドのほうが上という価値観がある。らしい。牛血と鳩血。どちらもルビーの色彩を表すための語彙である。 これに私は「意義あり」と思う。 この場合のビーフブラッドとは、肉用に生物にとって優れているとは言えない環境で成長ホルモンを投与され大量生産され機械的に処理(殺害)された牛肉が、冷凍処理をされて流通を経たのちに、慌しく人が往来するキッチンに常温放置されて流れ出したドリップの、赤黒く濁った人類の業を表す地獄の贄色のことを言っているのだと思う。一方で「いい」とされるピジョンブラッドは、ハイクラスの野生の鳩を貴族的遊侠の文脈で狩猟し高級レストランに従事する専門家が丁寧に解体したものであって、その色味はバレンシアオレンジのような、特色オレンジのインクのような爽やかな色彩を含んだ濁りのない澄んだものである。 宝石業界は前者を「下卑たもの」「価値が低くヘルシー

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    kiku72 2024/03/26
  • ものすごく具体的に考えるダサい大人にならないための基本方針|水野しず

    ・ダサい大人は勘弁してもらえない時代最近、ダウンタウンのメンバー松人志休業の報道が話題になりました。 これについては言及可能な切り口が無数にあるので一概に言える話ではないのですが、ひとつ「ヒエーっ」となった点として、「ダサい大人は格的に勘弁してもらえない時代が到来したんだな」ということを思いました。 というか、今まで勘弁してもらえていた方がリラックスのし過ぎだったのかもしれません。考えてみると、立場が上の人間だけがリラックスできるというのも変な話です。ダサい大人。考えてみると、これは全く他人事ではない。ダサくなってしまう可能性は誰にとっても開かれているのだから……。そこで、今回は自分のため熱心に考えたダサい大人にならないための基方針三案を共有したいと思います。ちなみに「ダサい」「ダサくない」という言葉を私は以下のように定義しています。 ダサい=自分が見えていない ダサくない=自分が周

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    kiku72 2024/01/27
    “⑵そういうものなんだ(心の空きスペースを無理に埋める必要はない)とある程度見切りをつけておく”
  • 「ネガティブ・ケイパビリティ」のよりグッとくる言い回しを熱心に考える会|水野しず

    ・「ちょっとまってください」 と言いたくなる最近「ネガティブ・ケイパビリティ」という語をしばしば目に(あるいは耳に)する機会があります。これは 「曖昧で不確かではっきりとした答えが出ない問題について、早急な結論を出さず、わからないまま問いの渦中に止まる力」 ネガティブ・ケイパビリティを指しているそうです。 確かに、生産性や効率、結論、要約した意義のようなものばかりが過剰に求められ、誰しもが自らの価値の総額について深刻にならざるを得ない現代人にとって「バズりそうなひとことを言わずにグッと留めておく」みたいな感覚はすごく大切なんだよ、ということが言いたいのはよくわかります。そうなんですけれども。 でも、なんというか、その、ほら、アレですよ。人間ってそんなに言われたままをそのままスッとやれる感じではないというか。 「ネガティブ・ケイパビリティ」と言われてしまうことで「まあ、そうだなあ。確かに、そ

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    kiku72 2024/01/21
  • ゴキブリをじっと見る|水野しず

    (『ユリイカ 2017年4月号 特集=大森靖子』寄稿) 外に出ると疲れる。 脳の中がクリアーじゃなくなってザワザワしちゃって空間がよくわかんない感じになってグニャグニャして平衡感覚もなくなってまっすぐ立てなくなって、人の気配が入ってきて家に帰るだけで精一杯になったりして、なんだか外に出るのが苦手で、何にもないとわりと家にいる。 私の家はコンクリート製なので外界の音がほとんど聞こえてこない。シェルターみたいだ。豪雨の時に僅かに髪の毛に湿度を感じてそれと気づくことがあるくらいで、きっと外界でたくさんの人が死んで世界がほとんどなくなっても私は気がつかずにインターネットをしたりツナ缶をべたりしているのだと思う。 ずっとそれでいいのかなと思っていた。ニュースがモニターの向こう側で流れていてツイッターで遊んでいたら知らない人が私のことを知っているようになっていて、コンビニに同じ形の肉が売っている。そ

    ゴキブリをじっと見る|水野しず
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    kiku72 2024/01/19
    “(『ユリイカ 2017年4月号 特集=大森靖子』寄稿)”
  • イチローはマジで「すべて」が上手い説|水野しず

    イチローは野球が上手いだけなのに「すべて」が上手い雰囲気がある イチローとたけし(北野武)はある部分が共通していると思う。 それは、いったん思い浮かべるとイチローもたけしも思い浮かべの中でなにかしらの「100」として機能してしまうという点で、さらにその「100」(ある評価基準におけるマックス)と、世の中のある要素を比較をすることで、ある要素が「15」とか「3」とか「マイナス80」であるといったことが判明してくる趣がある。たとえばイチローを「100」とした場合のセブンプレミアムの商品は22〜38くらいかな、と思う一方、たけしを「100」とした場合のそれは大体マイナス30〜80くらいかな、といった方向に思考が遊ぶ。この遊びは、わざわざやりに行っているというよりも、自分の中である程度オートマティックな働きとして作動しているように感じる。あるいは、「比較作用を生じさせる遊び(プレイング可能なゲーム

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    kiku72 2023/12/30
  • 「せいろ購入前」というかけがえのない特別な時間|水野しず

    ・「せいろ購入前に必ずみてください」 ネットショッピングをしていて、画面の下の方に 「せいろ購入前に必ず見てください」 と書かれたPOP-UPウインドウが出てきた瞬間をやたら鮮明に覚えている。 せいろ? せいろ……? せいろって、あのせいろか。 (いわゆる「せいろ」) そのときの自分がなにを買おうとしていたかは覚えていないが、せいろではなかったことは確かだ。なぜなら私はせいろの購入を人生で一度も検討したことがないから。知らないショップの店員に「せいろ購入の可能性」について思案されたことで、急に自分のやっていふことの全てが恥ずかしくなってウケてしまった。なんでかというと「人生って大体、せいろ購入前みたいな瞬間の連なりでしかないんだよな」ということを脈絡なく実感したから。当たり前なんですけども。そういうことを考える直前までは、「自分が購入しようとしているなにかは、せいろのような俗っぽいものとは

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    kiku72 2023/12/26
  • 「評価」を気にし過ぎてしまうとき、一体なにが起こっているのか(後編)~「側」のやつ論~|水野しず

    今回の記事は前編後編にわけて 「人の目線や評価を過剰に気にしすぎて辛い」 という悩みにどう対処していくか、というテーマについて考えていきます。 ・「側」のやつ前編では主に 評価の内容よりも、「どこからどのような評価軸で評価をされるのかわからない状況に晒されている不安」から評価されることへの辛さが生じてきているという話をしました。また、このような辛さを回避するために、推し活や筋トレ等の 「功労(がんばりの量):評価(認められの量)の一対一関係」 を維持しやすい活動が流行っている、といった話もしました。 後編ではもっと根的なところでどうにかできないか、という話をしていきたいと思います。根的な対処方法があるのか、というと筆者はあるんじゃないかと考えています。それは 「側」のやつ です。 なんでしょうか、これは。こんな言葉は別にありません。 "「側」のやつ”とは筆者が勝手に考えてそう呼んでいる

    「評価」を気にし過ぎてしまうとき、一体なにが起こっているのか(後編)~「側」のやつ論~|水野しず
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    kiku72 2023/12/17
  • 「評価」を気にし過ぎてしまうとき、一体なにが起こっているのか(前編)|水野しず

    最近、 「人の目線や評価を過剰に気にしすぎて辛い」 ということで悩んでいる人の話を聞いて、すこしわかったことがありますので、今回はそれついてお話ししていきたいと思います。 ・「評価」を気にし過ぎてしまうとき、一体なにが起こっているのかどこかの誰かに突然「評価をされてしまうかもしれない可能性」について漠然と悩んでいる人(現代ではほとんどの人がこれに該当すると思うので、筆者も他人事ではありません)は「自分が晒されるかもしれない評価軸」とはどういったものなのか、イメージができていないことが多いんじゃないかと思います。つまり、評価を気にしている状態にある人は、評価の内容というより「突然評価されかねない理不尽」に対してより強い不安を抱いていると言いますか。 たとえばオリンピック競技種目のアスリートをやっている方は「どうやったらもっといい結果を出せるのか」「期待に応えるにはどうすればいいのか」という悩

    「評価」を気にし過ぎてしまうとき、一体なにが起こっているのか(前編)|水野しず
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    kiku72 2023/12/08
  • 火葬のアンチをやったって構わないし、腐乱死体のアンチに必ずしもなる必要はない。|水野しず

    孤独死がテーマの話になると、 「自分の体が誰にも発見されずに腐乱死体になるのはいやだ」 という論点に大体なる。でも、私は昔から自分の体が腐乱死体になった場面を想像して心を落ち着かせるということをやっていたので、嫌どころかむしろ落ち着く。これは非常識な意見だし、側から見たら厨二病のような痛々しさがある発想と思われるので、口に出しては言わない。こうなっているときの自分は、腐乱という事態そのものに直面して落ち着いているというよりは、ジワジワ積み重ねた慣習によって形成された精神の鋳型によって、うなぎ屋の前を通りがかった人くらいの温度でうなぎそのものの実態には触れずに、「パブロフ落ち着き」のフレーバーを嗅いでいるフシがある。 サコッシュから手榴弾を取り出すように、生活実感の懐からサッと出せるヤバさとして「腐乱死体」というワードを使っている人だって、腐乱死体そのものを思い浮かべて言っているわけではない

    火葬のアンチをやったって構わないし、腐乱死体のアンチに必ずしもなる必要はない。|水野しず
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    kiku72 2023/12/01
  • くまさんからの突然の正直|水野しず

    かにピラフ、死を待つ人の家にいる人は果たして待っているのか ガンジーやマザー・テレサについて書かれたを読んだりすると、ある部分ですごく無神経な人が、その性質によって別の側面では聖者としての功を奏しまくっているようにも思えてくる。例えば「死を待つ人の家」とか、ある部分でかなり無神経な人じゃないと絶対に思い付かない名前じゃないだろうか。 この無神経さが、私はなんだか嫌いになれない。なんで嫌いになれないのか長年把握できていなかったんだけど、最近似た感触のものをネット上で見てすこしわかった。それは、先日SNS上で話題になっていた 「障害者が作るクッキーが最高にやばい」 という投稿である。 これに寄せられた賛否については、趣旨と無関係だからここではひとまず無視して話を進めたい。ここに現れた情緒は、私が障害者手帳を持っているから感じられるある部分のゆとり(お役所認定された障害の当事者であることによっ

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    kiku72 2023/11/25
  • ドライヤー、大丈夫? って聞かれたが、懸念通りに爆発はした|水野しず

    友人と電話で話しているときに、 「水野さんのドライヤーは大丈夫ですか?」 と聞かれた。最初はなんの話かわからなかった。 詳しく尋ねると、どうやら巷では、私が使っていたものと同じ型番のドライヤーが爆発する事件が頻発しているらしい。頻発しすぎて大ごとになり、今、ニュースでも報道されているらしい。私は 「そのドライヤーだったら、もう爆発した」 と答えた。爆発は、二度した。 最初の爆発は、髪を乾かしている最中に、ドライヤー内部の機構が爆ぜる形で生じた。ポップコーンが弾けたような軽い音がして、周囲には焼却炉の臭いが漂い、内部からはガンプラの破片が転がっているような渇いた異音が響いた。ドライヤー体は、不吉な微音を放ちつつギリギリの動作を保った。保っているのをいいことに、私はいったん「爆発」を無視というか、スルーした。 ひとまず(自分の中では)爆発はなかったことになった。私はブローを継続しながら「爆発

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    kiku72 2023/11/05
  • 行列の殺気|水野しず

    老舗の人気おにぎり屋さんに行列ができているのを見た。 ざっと見て、50人くらいは並んでいたのではないか。飲店の行列としては最大規模というか、ディズニーランドのマイナー施設くらいのことになっている。 奇妙だった。 いったい、なにが。 そこには通常の飲店の行列、たとえばラーメン屋に並んでいる人々に顕著な「殺気」のようなものがまるで現れていなかったのだ。 行列なんだから、できればもっと殺伐としてほしい。シックななまはげなんか誰も喜ばない。ナポリタンをべるなら多少の胃もたれはしたい。 その点、ラーメン屋さんの行列は必ず殺伐としていて助かる。ラーメンの方向性にもよるが、よく見ると4~5人くらいしかいない行列主というか、行列クリエイターの人々が、各自の殺気の相乗効果によって20人くらいいるんじゃないかと思えるくらいのボリュームに感じることすらある。殺気の内容もすごい。 どうすごいのか。殺気という

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    kiku72 2023/10/28
    “やっぱり東京って恐ろしいな、と根が田舎者の私は思った。”
  • 引き寄せるより、取りに行った方が早いのではないか問題|水野しず

    ・「夢見」する人々中学生のとき、私は2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の「その日暮らし板」や「アウトロー板」あたりをしばしば観覧していた。中学に入ったあたりからジワジワ自分は将来的にホームレス(もしくは一生入院している人)になるかもしれない、という気がしてきたので先手を打って事前情報を集めていたのだ。(※) 住居、仕事、社会との繋がりの三要素を喪失した格その日暮らし民はインターネットを観覧する余裕がないので、そんな場所にはいないと言われている。だから、2ちゃんねるのその日暮らし板の住民とは、要するにおおむね「生活保護の受給に成功した人」の集合を指している。 その中で、私はその日暮らしのイメージから縁遠いワードを見た。それが「夢見(ゆめみ)」である。まず、なんのことを言っているのかわからない。その日暮らし板のスレッドタイトルは性質上「風呂に入ったらageるスレ」「五体不満足になれば1日1で済

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    kiku72 2023/10/14
    “中学生のとき、私は2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の「その日暮らし板」や「アウトロー板」あたりをしばしば観覧していた。”
  • ファッションショーとは、バレていないだけの「徒歩」|水野しず

    ・態度としての「バカ」と「かしこ」 今さら気がついたんだけど、かしこい人は余計なことを言わない。なにか思うところがあっても「私は今思うところがあります」といった、すごい満面の顔もしない。そんなことはわざわざ気がつくようなことではないのかもしれないが、突然気がついてしまった。途端に高い位置から自分を見下ろしているような気分になって、(自分自身の)盲目的ながんばりの具合に、モツが風に晒されているような感じがした。知らない手が私の内部に触れている。どんなときでも思ったことは手を尽くして伝わるように伝えるのが人としての誠意だと思い込んでしまうんだけど、当然常にそうではない。そういうことに気がついては次の瞬間に記憶を喪失して余計なことを言ってしまう。 ここで言う「バカ」とか「かしこ」とは、個人の有する能力の話ではなくて、ある場面における態度のことを示している。つまり、バカとは「不合理な関心事に熱心に

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    kiku72 2023/10/07
  • 崩壊し続けているんだよ|水野しず

    いや心も崩壊し続けているんだよ。 原子核が崩壊し続けているんだよ。 カンブリア爆発の後に生物が海から陸へ上がる。 そのときの、いやに親密な磯臭さが鼻腔の奥に今も張り付いているのがわかりますか。 そういったものが崩壊し続けているんですよ。 これは宇宙全体がそうですよ。 一階の次は八階でそのあとは全部の天井がすぐに迫り来る臨界にあるんだよ。 そうなったら次はどうしていくんですか。 深淵を削り出していくんだよ。 無量大数の命が剃り落とされた果てにそういったものが浮かび上がってくるんだよ。 膨大な循環が根拠として階層的に立ち上がってくるんだよ。血潮が流れ去った痕跡が見えるよ。 海岸沿いに恐ろしい数のイルカが死んでいる。 我々がべて殺しました。すべては最初から腐敗していました。有機的であろうと抵抗を続けた人類は滅亡しました。 「むなしかった味が見えるのですか」 かつての残響に耳骨を滲ませて、いまな

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    kiku72 2023/09/24
  • インターネットを漂う様々な不適切感情にまつわる表現の提案|水野しず

    ・ショックを受けている人の様子は、けっこう馬鹿馬鹿しく見える 最近つくづく思ったのですが、個人的な事情でショックを受けている渦中の人というのは、側から見たらけっこう馬鹿馬鹿しく見えます。なんでかというと「ショックを受ける」という事態が発生している時点で側から見た場合に起こすべき行動は一つ(気を取り直して今できることをやるしかない)、人はショックが治るまでどうしたって一定期間ジタバタもがくしかないからです。 人間がショックを受けると同時に巨大なトラバサミが空中に出現してショックを受けている人を挟んで吊し上げるといった怪現象が起きてくれたら、外から見た印象と人の心象が一致して非常に助かるのですが、そんな親切な仕組みはないので、(他の人から見たら)虚空に向けて馬鹿馬鹿しいことをやっている人に一旦なるしかありません。 ・どの程度馬鹿馬鹿しく見えるかは「運」でしかない ショックの原因が自然災害や

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    kiku72 2023/09/23
    “グルーポンスカスカおせち事件”
  • 間に受ける性格|水野しず

    子供のころ、私は七夕の短冊に「できれば透明人間になりたい」と書いた。七夕というと聞こえはいいが、一億総お願い乞である。そんなものを誰かが見ているとも思えなかったが、万が一叶ってしまう可能性もある。だから念のためマジの願望を書いた。当時の私は言われたことをなんでも間に受けて笑い物にされたので、透明人間になりたいと常々思っていた。側から見たらかなり牧歌的な悩みでしかないが、つくづくそう思っていた。雨の翌日は水たまりに浮く重油の動きに感情移入した。重油はトラックからこぼれるのだろうか。それはくさい割に虹色で、基よくないのにポイントでいいところが、なんというか親しみを持てた。こちらの精神をどこかに接続しようという意図(広義のデザインと言ったらいいか)がないから、その分なごめるというか。 透明人間になりたい。透明人間になった後はキッチンのべ物を拝借しつつを読んで過ごせたらいいかなと思った。そ

    間に受ける性格|水野しず
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    kiku72 2023/08/27