1.能力不足、職務適格性の欠如を理由とする普通解雇 勤務成績・態度が不良で、職務を行う能力や適格性を欠いていることを理由とする普通解雇の可否は、「①使用者と当該労働者との労働契約上、その労働者に要求される職務の能力・勤務態度がどの程度のものか、②勤務成績、勤務態度の不良はどの程度か、③指導による改善の余地があるか、④他の労働者との取扱いに不均衡はないか等について、総合的に検討する」ものとされています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕395頁)。 この「③指導による改善の余地があるか」を判断するにあたり、しばしば能力が向上しなければ解雇することが事前に告知されていたのかどうかが問題になります。これは、改善の機会が与えられていのかどうかを判断するにあたっての事情となるほか、当該能力を使用者の側がどれだけ重視していたのかという尺度にもなります。 近時公