ブラック・ミディの活動でも知られるジョーディー・グリープ インタヴュー 「ザッパのまあまあな作品群をなんとか聴くことができれば、彼の最高傑作を聴いたときに真の価値がわかると思う」 『The New Sound』は奔放なアルバムであり、ブラック・ミディというくびきからの解放であり、そのバンドのフロントパーソン=ジョーディー・グリープの趣味性や創造性が文字通りの爆発を起こしたアルバムである。これはブラック・ミディが彼にとって抑圧的な磁場であったことを意味しているわけではない。メンバー全員がブリットスクール出身で高練度な演奏力と構築力で攻め立てるタイプのバンドは、時に互いの個性が相殺され結果的に失敗に終わる例も少なくないが、彼らは違った。互いが互いの個性とずれ込みながらも重なり合い高め合い、より良い境地を目指すことができ、それが作品にも強烈な光暈として表れることができた稀有なバンドであった。かつ
シンセサイザーの面白いところは、値をいじることでフレーズが変化すること パソコン音楽クラブ インタヴュー パソコン音楽クラブの5作目となるアルバム『Love Flutter』。ダンス・ミュージックに軸足を置き、ノイズや音の揺らぎにも満ちた作品だ。聴こえるのは、大人になってそのかたちは変わったかもしれないけど、なくなることはなく、むしろ通り過ぎることができないような、生活にある心の機微、ときめきについて。 アナログ・シンセサイザーを導入し、身体の動きがそのまま伝達される手演奏も多く取り入れたというこの作品で、パソコン音楽クラブの二人が考えていたのはどんなことだったのか、今作で取り組んだサウンドや活動のあり方についても話を訊いた。 (インタヴュー・文/佐藤遥 写真/Syuya Aoki 協力/岡村詩野) Interview with Pasocom Music Club (Shibata Ao
二項対立を越えた先に、立ち現れる「定義ができないもの」 OGRE YOU ASSHOLE『自然とコンピューター』インタヴュー OGRE YOU ASSHOLEのニューアルバム「自然とコンピューター」がリリースされた。 現在ライヴでも強烈な存在感を放っているアナログシンセサイザーの導入がより進められたサウンド、グルーヴは怪しげにもファニーにも聞こえ、ルビンの壺のようにその表情を固定させない。サイケデリック、クラウトロック、60~70年代以降の電子音楽などをはっきりと通過しながら「今、私は一体何を聞いているんだ?」と思わせる、キャリアを通じたこのオウガ印とも言える感覚。その深化について、今回Zoomにて出戸学(ヴォーカル/ギター)にインタヴューの機会を頂き、話を訊くことができた。 本文には収めていないがインタヴュー終盤、TURN編集部の方から 「“自然”と“コンピューター”って、ネイチャーなも
アンビエントが一種のブームというべき状況に至ったこの10年ほどで、エレクトロニック・ミュージックやポスト・クラシカル等のフィールドに限らず、アンビエント的なサウンド・フォルム/様式がポップ・ミュージック全般に広く浸透してきたことを、《TURN》読者の皆さんであればよくご存知だろう。 そうした各種のサウンドは、例えばアンビエントR&Bだったり、アンビエント・ジャズ、アンビエント・フォーク、アンビエント・ポップだったりと、多種多様に呼称されているわけだが、そのように「アンビエント」という語がひとつの形容詞として汎用性を高めていくに伴って、過去に存在したさまざまな音楽が、同様の視点から再受容される例が増えてきている。アンビエントと他ジャンルの境界線上に位置するような作品が、そのようなプロセスを経ることによって、新たな視点から「再発見」されつつあるのだ。 《4AD》レーベルの代表的アーティストであ
南カリフォルニア在住のアーティスト=キャメロン・ルーによるプロジェクト「Ginger Root」が、前作から4年ぶりとなるサード・アルバム『シンバングミ』を明日9月13日に世界同時リリースする。 架空のメディア複合企業「ジンジャー・ルート・プロダクション」を舞台に繰り広げられるコンセプト・アルバムである本作では、かねてより日本の1980年代のポップ・カルチャーを愛する彼ならではの、親しみやすくもハイコンテクストな独自のエンターテイメント世界が、過去最もバラエティに富んだ形で展開されている。ソウルやファンク、ディスコからニューウェイヴ、シティポップやアイドルポップスまで、様々な音楽の意匠を巧みに取り込みながら、紛れもない「2024年感覚」でメイクアップしたその内容は、ほとんど短編映画というべきハイクオリティぶりを見せる一連のビデオ・クリップとともに、これまで以上に幅広いリスナーへとアピールす
人々はしばしば「幻想」に浸りがちになる。例えば、実際には現実世界上に存在するグリードアイランドを、VRゲーム上の世界だと思い込み続けるプレイヤーたちのように(『HUNTER×HUNTER』連載再開おめでとう)。 本記事の主人公、フォンテインズD.C.がおかれている状況もまた、いくつかの幻想の上に成り立っている。UKインディー、サウス・ロンドン、ポストパンク……それらのタームはすでに溶解している。パンデミックを経てシーンは固定的なものではなくなり、マンチェスター、LA、ソウル、ストックホルム、ブラジルと、都市規模を問わず世界のどこからでもインディー・アクトは爆発的に鳴りを強め続けている。かつて「ポストパンク」の元に名をあげたUK/アイルランドのバンド群も、今はそれぞれの道を歩みはじめている。ブラック・カントリー・ニュー・ロードのアイザック脱退、ブラック・ミディ活動休止。スクイッドはエクスペリ
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