【火宅無常の世界(2)】 先回「胡蝶の夢」について話をしました。 まだの方はこちらからどうぞ 以前、友人が語ってくれた体験談が、 まさに「胡蝶の夢」の故事そのものだと感じ入るものだったので、 みなさんにも紹介いたします。 当時、神戸の大学生だった彼は、灘区のアパートで被災しました。 誰かに「起きろ」と激しく身体を揺り動かされたと思って目を覚ますと、誰もいない。 視界が暗い。 しばらくは何が起きたか分からず、暗がりにじっと目を凝らすと、 木造長屋の2階だった部屋が、そのまま地面に落ちているのに気づいたのです。 何が起きた!? すぐに建物の外に出たところ、そこで初めて事態の深刻さに息をのんだ。 神戸の街が一変していたからです。 徐々に震災での建物崩壊、火事、その犠牲者の情報が明るみになり、 自分が助かったのが当たり前でなかったと知らされたのでした。 数日間、避難所で過ごしたあと、大阪の実家に帰