2022年、パナソニックHDのCEOに就任した楠見氏は、60年ぶりに、同社の経営基本方針を改訂した。そのうえで、新しいブランドスローガンを作成。自ら「30年間成長しなかった」と表明する会社を建て直すのに、数字よりも会社の存在意義を最優先したのはなぜか。ブックライター上阪徹氏が楠見CEOにその真意を聞く――。(第2回/全2回) ※本稿は、上阪徹『ブランディングという力 パナソニックはなぜ認知度をV字回復できたのか』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 従業員には「上を見るな」、経営陣には「任せて任さず」 ――事業会社化による「自主責任経営」や、従業員向けの「社員稼業」といったキーワードもインパクトがありました。 弊社の自主責任経営というのは、もともと従業員一人ひとりが自主責任経営をしないといけない、ということだったんですよ。 一方、事業会社とか事業部という単位に求める自主責任経営と