――菅谷さんと大崎さんには以前、この連載にそれぞれご登場いただきました。大崎さんの回では「国際バカロレア(IB)は語学や論理的思考、プレゼン能力といった単なるグローバルスキルを養うためのものではなく、全人教育だ」という話になりました。それは具体的には前回記事でまさに菅谷さんが指摘した「思考力」「多角的なものの見方」「共感力」「柔軟性」を養うものだと思います。IBを取った大崎さんの息子さんも、大量の本を読んでいましたよね。 大崎:はい。IBは文学が中心に据えられたプログラムで、それはリーダーとしての資質、具体的には共感力、創造性、さらには物事を俯瞰して本質を見極める力を養う全人教育を目的としているからです。 例えば、日本文学を読む「日本語」の授業で遠藤周作の『海と毒薬』を読んでいたのですが、人間の良心が集団心理によってどのような影響を受けるのかということを多角的な視点から探り、最終的にはどの