「東京証券取引所に重大な落ち度があることは、火を見るより明らかです」。2013年3月18日、東京高等裁判所での第一回口頭弁論。みずほ証券の代理人である岩倉正和弁護士は、東証の株式売買システムに潜んでいた誤発注を取り消せないバグの概要を説明する大型パネルを法廷内に持ち込み、25分にわたって熱弁を振るった。 対する東証代理人の山田和彦弁護士は終始落ち着いた口調で「合理的信頼性を有するシステムを提供できていれば、たとえバグが一つあったとしても、債務不履行には当たりません」と述べ、13分ほどで弁論を終えた。同日、裁判は結審した。 みずほ証券と東証による株誤発注裁判の控訴審は、両社がソフトウエア工学上の論争を戦わせる異例の展開になった(図1)。
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