(2012年5月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 世界第2位の経済大国の舵取り役に来年就任する人物は、2007年にうっかりと、中国の国内総生産(GDP)統計に対する疑念を漏らした。 李克強氏は当時の米国大使に向かって、中国の公式GDP統計は「人為的なもの」で、それゆえ当てにならないと語り、笑みを浮かべ、自分はこの統計を「あくまで参考値」と見なしているとつけ加えた。 GDP統計では実態が分からない 来年3月に正式に温家宝首相の後を継ぐ見通しの李氏は、経済成長を評価する際には、GDPではなく、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視すると述べた。 李氏の評価が正しければ、中国経済は今、これまでGDP統計が示唆してきたよりもかなり大きな苦境に陥っている。 電力消費や鉄道貨物、銀行融資をはじめ、ここ数日間で発表されたあまり注目されていない統計は、いずれも経済活動の急