「明日、会場に行く人は朝6時半発。“紙”取ったら戻ってくるのは誰?」 毎年、中国の全国人民代表大会(全人代)の開幕前日、マスコミ各社で繰り広げられているだろう風景だ。 全人代は、天安門に向かって後方西側にある人民大会堂で開かれる。午前9時に始まるが、記者やカメラマンはその2~3時間ほど前から延々と並び始める。 いわゆる「紙取り」のためだ。 紙は、ここでは時の首相が全人代の冒頭で読み上げる政府活動報告(施政方針演説に相当)の外国語訳を指す。政府活動報告は毎回1万字を超す長文なので、夕刊に盛り込もうとすれば、やはり訳文があった方が間違いが少ない。これは恐らく万国共通で、会場となる大ホール前の通路で活動報告の訳文が配られると、あらゆる国の記者が押し寄せてくる。部数は、ボンヤリしているとなくなってしまうほどの数しかないので、行くしかない。 共産党がすべてに優先し、権限は限られる中国政府。全人代はそ