特派員リポート 鵜飼啓(台北支局長) 最近、台湾の新聞やテレビを見ていると、ため息をつきたくなることが多い。東日本大震災での東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、台湾は一部の県の食品の輸入を禁止している。蔡英文(ツァイ・インウェン)政権がこうした県の食品の輸入を一部解禁しようとしたところ、かんかんがくがくの議論が起きている。その中で、悪意があるとしか思えないようなものも含め、事実と異なる主張が声高に叫ばれているのだ。 台湾が輸入を禁じているのは、福島と茨城、栃木、群馬、千葉の5県の食品すべてだ。農産物だけでなく、加工食品も含まれており、日本政府は馬英九(マー・インチウ)前政権のころから規制解除を働きかけてきた。解禁に向けて動き始めていた2015年3月、これらの県でつくられた加工食品が他県産と表示されて台湾で流通していたことが発覚。「偽ラベル事件」として騒ぎになり、逆に規制強化を招いた。
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