ペロシ米下院議長の台湾訪問をきっかけに、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を始めた。中国の習近平指導部は軍事だけでなく、貿易関係の規制強化を図るなど経済においても圧力を強め、中台関係の現状維持を図る台湾の蔡英文政権を追い込む狙いだ。今のところ台湾社会に大きな動揺は見られないが、台湾の領海に相当する区域にまで演習区域を広げ、弾道ミサイルを撃ち込む中国の強硬姿勢には反発もある。中国が目指す「成果」を得られるかは不透明だ。 【図解】中国軍の弾道ミサイルが落下したとみられる海域 中国軍の演習区域から約10キロの「最前線」に位置する台湾南部・屏東(へいとう)県の離島「小琉球」。多くの漁師は演習期間中は漁に出るのを控えているという。ある漁師は、台湾メディアの取材に対し、「ミサイルが当たって死ぬかもしれない」と不安をもらした。北東部・宜蘭(ぎらん)県では3日間の軍事演習期間に出漁できなければ、最大で500