中国に軸足を置きながら、アジア、そして新興国の経済を研究しています。ここにはメモのような雑文を書いています。 上の写真は上海市出身のアーティスト、楊泳樑氏(Yang Yongliang)のPhantom Landscape Ⅱ (蜃市山水贰, 2007)です。山水画に見えますがよく見るとビル群で、2000年代後半の開発の様子を思わせます。Yang Yongliang Studioの許可を得てヘッダー画像として掲載しています。
報告書『中国14億人の社会実装―「軽いIoT」が創るデジタル社会』が刊行されました。高口康太氏と共著ですが、澤田翔氏、茂田克格氏、藤岡淳一氏にもお力添えいただきました。ありがとうございました。 下記URLよりダウンロードできます。 https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/kyoten/research_series_no_19.pdf https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/kyoten/post-12.html 前書きをちょっとだけ引用しておきます。 「ネットワークとすべてがつながるとしたら、どのような新サービスが有効で、どのような社会的課題の解決が可能だろうか。このような IoT 領域におけるソリューションの選別を行ううえでは、試行錯誤が重要である。なぜならこの領域ではいまだに最適解が不明瞭であり、前例のない取り組みが求められるからだ。 IoT
2019/02/14 (木) 、本屋B&Bにて写真家の塩田さん、ジャーナリストの高口さん、編集者の岡本さん、私でイベントをやります。 塩田さんはご自身の作品に加えてヤフーニュースなどでも写真を撮っている方です(https://www.ryogoshioda.com) 。塩田さんが撮影した写真から見える中国の姿がとても新鮮だったので、写真家の目線を糸口に議論してみたい、というのが着想です。 例えば以下の2つのニュース記事。どちらも記事・高口氏、写真・塩田氏のコラボレーションで、私もすこしサポートしているのですが、普段研究者としての自分が見ていない、あるいは見過ごしているような生活の一断面が写真で捉えられています。 「猛スピードで変わる巨大都市――中国「深セン」に賭ける日本人たち https://news.yahoo.co.jp/feature/1095 「中国「100円ショップの里」の変貌―
南アからエチオピア・アディスアベバへ 2018年8月9-10日に、エチオピア・アディスアベバにて企業訪問をしました。はじめてのエチオピア訪問で、事前準備として黄熱病の予防接種証明書(イエローカードの取得)から始まるという、なかなかハードルの高い訪問でした。 実際に来てみると、むしろ南アフリカより治安は良く、またアディスアベバの街は建設ラッシュで、経済成長していることを感じることができます。そもそも論として、ヨハネスブルグは街を歩くことすらままならない治安だったわけですが、アディスアベバでは、街を歩き、そして道端の小さなお店で飲み物を飲む、といったこともできました。コーヒーは聞いていた通り美味しいです。ただ、インターネットインフラはまだ脆弱で、LTE回線までが整備されてはいますが、動画、写真のアップロードといった負荷のかかる作業の際は不安定でした。 今回のアディスアベバは、ニコ技深圳コミュニ
新興国におけるスタートアップとベンチャーをどう見るか? 8月6日から8日まで南アフリカのケープタウンとヨハネスブルグを訪問し、現地のスタートアップ企業でインタビューをする機会を得ました。今回の調査はグローバルなスタートアップムーブメントが、新興国でいかに広がりがあるのかを探るもので、JETROの支援を得て調査をしています。 前提となる問題意識は「先進国以外でのデジタルエコノミー、スタートアップの広がりが生まれているように見える。これは広く新興国経済を考えるうえで新しい論点となっているのではないか?」というものです。 筆者はここ数年、中国のスタートアップを追いかけてきました。特に2017年度はイノベーション都市として注目を集めつつある深圳市に滞在し、現地のエコシステムの形成を分析してきました。HUAWEIのような製造業分野の大企業から、テンセントに筆頭されるIT企業、さらにベンチャーの領域で
深圳在外研究メモ No.45 深圳建築ビエンナーレで城中村・南頭古城を訪問編 ~「共生する都市」、開発業者、タオバオ村の未来図 2017年12月15日から2018年3月15日の会期で、深圳建築ビエンナーレが開催されています。テーマは「城市共生」(Cities Grow in Difference)、訳すとすれば「共生する都市」でしょうか。 正式名称は「2017 深港城市/建築双城双年展(深圳)」2017 Bi-City Shenzhen Biennale of Urbanism / Architecture (Shenzhen)です。すでに7回目の開催で、日本語でも調べると過去の見学レポートが見られます。 2008年のレポート(第1回):月刊旧建築trystero.exblog.jp 2009年のレポート:アジアと建築ビエンナーレを考える五十嵐太郎(東北大学教授/建築史、建築批評) 201
深圳在外研究メモ No.43 電子製品製造受託のJENESISでインターンしてみた編~緊張感がないと日本市場向けのモノは作れない 2017年12月25,26,27,日,29日の4日間、日本向け電子製品の製造受託をしているJENESISの工場でインターンをする機会を得ました。生産ラインに入れていただき、限られた時間ではありましたが、現場の雰囲気と作業を体験できました。JENESISの藤岡さんには深くお礼を申し上げます。一緒に体験した茂田さん、美谷さん、Minakoさんにも感謝です。別日程にて体験された高須さんの記事(おそらく年明けに公開、そしたらリンクします)も面白い観点でまとめられているので、そちらもチェックしてほしいと思います。 追記:藤岡さんは、ご著書『ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ』に創業からの経緯を詳しく書かれています。ぜひご一読をお薦めします。 以下ではJENESISイン
深圳在外研究メモ No.42 深圳湾ソフトウェアパークで感じる「社会実装先進都市」としての深圳~日々新しいサービスに囲まれて仕事をしていることが何かを意味するのかも… このブログでもたびたび取り上げている深圳湾のソフトウェアパーク。ものすごい意識高い系でもあり、テンセント新本社ビルとかあり、しかもベンチャーキャピタルのビルとかもあるので、なんだか「新しい深圳」を代表しているように見える場所の一つだ。 この場所の雰囲気については、高須さんが記事に書いていて、様子がよくわかる。 2015年メイカーフェアー深圳の様子:街が丸ごと会場に!Makeで生きる「創客」たちの楽園~Maker Faire Shenzhen 2015レポ前編【連載:高須正和】 このエリアは、在外研究している深圳大学の寮から徒歩10分の距離で、なおかつブログでも言及しているMakerNetのKevinのオフィスがこのエリアのま
深圳在外研究メモ No.32 深圳イノベーション·アントレプレナーシップ・ウィーク2017編~テーマは「深圳と創造しよう」 2015年以来、中国では創業と創新(イノベーション)の二つの「創」のいみで、「双創週(通称イノベーションウィーク)」が開催されています。期間は9月15日から21日で、深圳での正式名は「全国双创周深圳活动暨第三届深圳国际创客周」、イノベーションウィーク自体は全国のイベントなので、その深圳分会という位置づけです。なかでも会展中心で開催されている展示会が最も規模の大きな展示で、このほかに市内の各地で関連イベントが50以上開催されています。 昨年のイノベーションウィークでは、李克強首相主催、そしてアップルのティムクックまで列席した会議が開催されましたが、今回は党大会前というタイミングで、政治的には控えめの開催だったと感じました。内容としては深圳のロボティクス企業やメイカースペ
深圳在外研究メモ No.31 深圳テクノセンター訪問編~来料加工制度は終了へ、中国国内需要の開拓と難加工への挑戦 深圳の日系企業といえば、大手複写機メーカーや家電メーカーと並んで、テクノセンターの存在を指摘できます。現在の第三期は深圳市の北部、観欄にあり、現在19社が入居しています。 テクノセンターは1992年に開設され、来料加工の形態で多くの日系企業の現地進出をサポートしてきました。来料加工とは、加工貿易としての性質、すなわち原料を無関税で持ち込み、製品を輸出する形式に加えて、香港法人から華南の村への委託という形態をとることで、直接投資形態をとらない(つまり中国で法人を設立しない)、特殊な加工貿易形態です。 今回の在外研究中にも、テクノセンターのまさに開拓者である石井次郎さん、そしてテクノセンター総務部の西村三沙さんに加えて、さらには入居されている企業にも何社かお邪魔させていただき、お話
中国のベンチャー投資が急増しているというニュースは日経新聞はじめ、かなり日本でも認識されてきているように感じます。すこし頼まれたこともあり、中国のベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ(PE)関連のデータを提供している清科集団の公開情報をもとに少し調べてみました。日本語で読めるものがあまりないので、せっかくなのでメモとして残しておきます。 下記の表は同集団が公表している2016年の主要なベンチャーキャピタルのランキングです。ランキングは金額ベースというよりも、運用実績などを含めた総合的な評価となっているようです。金額的にはVCに区分されているところが大きく、3位にランクインしている深圳市創新投資集団の運用額は2000億元、3.2兆円程度とされています。同社は先日のNHK BSの特集でも登場した中国の老舗のベンチャーキャピタルで、1999年に深圳市政府によって設立され、これまで
2017年1月17日、習近平ダボス演説。グローバル化を擁護し、「一帯一路」に言及。「一帯一路」は何を意味することになるのか? 2013年から中国政府が提唱する構想として、「一帯一路」というものがあります。中国から欧州までを陸路と海路でつなぐ線を軸として、新たな経済開発を進めていこうとする構想です。この構想については「中国「一帯一路」の構想と実態」というエッセイを2015年に書いたことがあるのですが、当時の情報から得られたことは、AIIBやシルクロードファンドを軸としてユーラシア大陸を中心にインフラ建設を進め、これにより中国企業の対外進出を進め、当該国の経済発展も促進しようとする構想だろう、ということでした。 中国を含めて、一部の論者は、この構想がオバマ政権による「アジアへの回帰」路線、より具体的にはTPPへの対応策として打ち出されたということを指摘していました。ただ、2015年から2016
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