ブックマーク / www.webchikuma.jp (5)

  • 「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか 蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第19回を「ちくま」5月号より転載します。たしかに家にあるはずのが見当たらない! というのは読書人あるあるだと想いますが、蓮實さんでもそうなのかと思うと安心、というか人間の整理能力や認知能力には限界があるのだなと素直に受け止められます。ご覧下さい。 いつのことだったか定かな記憶はないが、昭和と呼ばれた一時期の戦中および戦後にかけて文芸批評の重鎮だった中村光夫の「名言」もしくは「迷言」として、「は売らないとたまるね」というものがあったと思う。ことによると「たまるね」ではなく「増えるね」だったかもしれぬが、実際、書物というものは、とりわけこの文章をいま書き綴りつつある者のように映画や文学の批評にかかわる年輩者のもとに、しばしば著者自身から、あ

    「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
  • 兵器への偏愛が生んだ一編の批評|ちくま新書|大塚 英志|webちくま

    戦時中、少なからぬ人々が、頭上を飛ぶB-29を見て「美しい」という言葉を残していました。人を殺す兵器を見て美しいと感じる、その感覚と深く向き合った『B-29の昭和史』の書評を、大塚英志さんに執筆していただきました。PR誌「ちくま」に掲載したものより少し長い、完全版です。 ぼくは言うまでもなく「おたく」の類だが、ミリタリー方面には疎く、手先が不器用でプラモデルも苦手だ。模型雑誌に一瞬手を出した時があったが、もっぱら海洋堂の綾波レイのガレージキットの情報が目当てで、買って箱ごと観賞用に飾るだけだった。それでもナチスドイツの戦車や飛行機の模型写真に思わず見とれる時があった。思想的にはぼくはベタなサヨクだが、その「思想」に反して、兵器のデザインを「美しい」と思うことがある。ぼくと比較するのはあまりに不遜だが、宮崎駿もその左派的発言とミリタリーマニアぶりの解離はよく知られている。若き日の宮崎がミリタ

    兵器への偏愛が生んだ一編の批評|ちくま新書|大塚 英志|webちくま
  • 「社会政策」としての殺戮|『ブラッドランド』刊行記念|大木 毅|webちくま

    ウクライナ、ポーランド、ベラルーシ、バルト三国。西欧諸国とロシアに挟まれたこの地で起きた人類史上最悪のジェノサイド。旧ソ連体制下で歪曲・隠蔽されてきた事実を掘り起こし、殺戮の全貌を初めて明らかにした歴史ノンフィクションがついに学芸文庫に入った。今日の世界で『ブラッドランド』をどう読むべきか? 文庫化を機に、岩波新書『独ソ戦』の著者である現代史家・大木毅氏に特別寄稿をいただいた。 早いもので、もう四十年近く前になる。筆者は、大学院の演習で、今日に至るまで大きな影響を受けることになった論文に出会った。シカゴ大学教授(現同大名誉教授)だったミヒャエル・ガイヤーによる「社会政策としての戦争」(Michael Geyer, Krieg als Gesellschaftspolitik. Anmerkungen zu neueren Arbeiten über das Dritte Reich im

    「社会政策」としての殺戮|『ブラッドランド』刊行記念|大木 毅|webちくま
  • マイクの醜さがテレビでは醜さとは認識されることのない東洋の不幸な島国にて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第2回を「ちくま」7月号より転載します。テレビというメディアの鈍感さ、が放置される日という国の鈍感さについて。 そもそもが雑駁な装置にすぎないテレヴィジョンというものの視覚的メディアとしての役割はとうの昔に終わっているから、いまさらその悪口をいったり文句をつけてみたりしても始まるまいが、そのちっぽけな画面に対する蔑みの思いは、いまも収まることがない。そう、わたくしはテレビというものを侮蔑してきたし、いまも侮蔑しているし、これからもまた侮蔑し続けるだろう。だからといって、それがしかるべき社会的な態度の確かな表明だなどといいつのるつもりはない。あたかも視覚的なメディアであるかに振る舞っているテレビというものが、質的に音声メディアにほかならぬという厳然たる真実を、その装置をあげて隠していることが醜いというだけのことだ。 実際、映画の画面とテレビ

    マイクの醜さがテレビでは醜さとは認識されることのない東洋の不幸な島国にて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
  • ネにもつタイプ・五輪傑作選・1|ネにもつタイプ傑作選|岸本 佐知子,クラフト・エヴィング商會|webちくま

    この期に及んでなお止まる気配のない東京2020オリンピック。しかし、ほぼ無観客も決まり、さしもの五輪も往年のかがやきを失い瀕死の体です。そしていよいよ、長年、オリンピックぎらいを公言してきたキシモトさんが五輪を粉砕しとどめをさすべく立ち上がる!? というわけで、PR誌「ちくま」の連載「ネにもつタイプ」の中から五輪関連のエッセイを選び、ここに謹んで再録いたします。ネにもつタイプ・五輪傑作選、お楽しみいただけると幸いです。 裏五輪 オリンピックが嫌いだ。 朝から晩までオリンピックオリンピックとそのことばかりになるから嫌いだ。参加することに意義があるとか言いながらメダルの数に固執するから嫌いだ。口では「ゲームを楽しみたいと思います」と言いつつ目が笑っていなくて嫌いだ。メダルを取らなかった選手と種目は最初から存在しなかったことになるのが嫌いだ。国別なのも嫌いだ。閉会式と開会式だけちょっと好きだ。あ

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