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ある会合で話をしてほしいと言われた。会合の趣旨を聞くと「日本がなぜITの利用で劣後してしまったのかを考えること」と説明してくれた。演題を考えているうちに「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」という一言が浮かんだ。 この言葉は10年近く前、2013年12月に出版した拙著の書名である。元々は日経ビジネスオンライン向けに書いたコラムに付けた題名であり、そのコラムを同書の巻頭に再録した。 「日本企業は自社で利用するソフトのほとんどをIT(情報技術)企業に開発させているのに対し、米国企業はソフトを内製する比率が高い」「日本のソフト開発技術者の大半はIT企業に所属するが、米国のソフト開発技術者の大半はIT企業ではなく一般企業に所属している」、これがコラムの内容であった。ここでいうソフトはコンピューター上で動かすプログラムのことである。 これ自体はソフトの内製化と言われる問題だ。実は同書の主題は
人月商売のIT業界において、下請けITベンダーの技術者に対する定番の悪口がある。「できる技術者なんて数えるほどしかいない。プロとは言えないよう連中ばかりだ」というもので、SIerの技術者らが口にするのを何度か聞いたことがある。そんな話を聞くと、私なんかは「それじゃ、あんたはプロの技術者なのか」とツッコミを入れたくなるのだが、実はこの件には本質的な問題が潜んでいる。 「パートナー(=下請けITベンダー)の技術者に対して、そんな悪口を言う人はいないぞ」と異議を申し立てるピュアな読者もいると思うので、悪口を聞くことになる状況を少し説明しておこう。もちろん、私が「余計なこと」を言うからだ。つまり、この「極言暴論」で書いているような話をSIerの技術者にしてしまうからいけない。「SIerの人月商売はIT業界の多重下請け構造をフル活用して、大勢の技術者を低コストでこき使うことで成り立っている」といった
TLS(Transport Layer Security)1.3では、使用できる暗号アルゴリズムが大きく制限された。例えば鍵交換には、前方秘匿性のあるDHE(Diffie-Hellman key Exchange)とECDHE(Elliptic Curve Diffie-Hellman key Exchange)以外の暗号アルゴリズムは使えないようにした。過去に遡っての情報窃取を防ぐためだ。 言い方を変えれば、前方秘匿性のない暗号アルゴリズムでは秘密鍵が漏洩すると、過去に収集されていた暗号文がすべて復号される恐れがある。 前方秘匿性のない暗号アルゴリズムを使っているメールサービスを例に説明しよう。 メールサービスの利用者はメールを送信するに当たり、まずプロバイダーのメールサーバーの公開鍵を入手する。 次にメールの暗号化に使う「共通鍵のもと」を公開鍵で暗号化し、プロバイダーのメールサーバーへ
SIビジネスの先行きについてまとめた書籍『SI企業の進む道 業界歴40年のSEが現役世代に託すバトン』から抜粋し、「誰も指摘しなかったSI企業の課題」を指摘する。今回は、SIerが生産性向上に取り組もうとしない構造要因に踏み込む。
富士通は2022年12月23日、同社が手掛ける法人向けインターネット回線サービス「FENICSインターネットサービス」を構成する一部のネットワーク機器で、外部へ不正な通信が行われていたことを同年12月9日に確認したと発表した。既に必要な対策を施こしたという。 同サービスの利用者数や被害者数、不正な通信の原因、情報漏洩の有無について、富士通は「セキュリティーに関する事案であり、回答は控える」(広報)とした。「顧客には個別に説明している」(同)という。 同サービスの利用企業の1社であるTKCは2022年12月23日、「TKC会員事務所向けに提供しているメールサービスが不正アクセスを受けた可能性のご報告」と題するお知らせを掲載。TKCは会員事務所向けに提供しているメールサービスにFENICSインターネットサービスを使用しており、今回の不正な通信の影響で、2022年11月7日と11月8日に送受信し
日本薬剤師会の電子版お薬手帳がサービス運営体制の岐路に立たされている。2022年6月、開発・運営を担うNTTドコモからサービス終了を告げられたためだ。日薬は「お薬手帳を扱う事業者としてあってはならない判断」と不満を示すが、ドコモを相手取った訴訟の提起などは検討していないとする。代替サービスの構築を含め、今後の対応について2022年内に結論を出す考えだ。 「継続的な薬学管理の重要なアイテムであるお薬手帳を扱う事業者としてあってはならない判断だ」――。 日本薬剤師会が提供する電子版お薬手帳「eお薬手帳」が終了の危機に直面している。2022年6月、開発・運営を担うNTTドコモから突如、サービス終了の方針を告げられたためだ。日薬は2022年8月30日、各都道府県の薬剤師会担当役員に送付した文書で冒頭のように不満をあらわにした。 電子版お薬手帳は2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに必要性の
2022年7月2日未明に発生したKDDIの大規模通信障害は、40時間以上が経過した同月3日午後7時時点でも完全復旧宣言が出ていないという異例の事態となっている。最大約3915万回線の携帯電話が影響を受けたほか、同社回線を利用する物流や自動車、気象、銀行関連など幅広い企業のサービスにも影響が出ている。異例の大規模障害は、定期作業のわずかな不具合を起点として、雪崩のように影響が広がっていったことが分かった。国民生活を支える社会インフラである携帯電話が、わずかな想定の甘さで長時間、使えなくなるという怖さを改めて浮き彫りにした。
最近、システム開発案件のコンペに参加したITベンダーに対して提案料を支払う、というユーザー企業の話を聞いた。複数のITベンダーから提案を求めて最も優れた提案を出したITベンダーを選定する際、全てのITベンダーに提案料を支払うのだという。 IT業界の関係者ならほとんどの人が「そんなユーザー企業があるのか」と驚くと思う。提案料を支払うと明言するユーザー企業は、ほとんど存在しないからだ。そもそもユーザー企業のIT部門の大半は、ITベンダーに提案料を支払うという発想がない。「提案はITベンダーの営業活動の一環なのだから、対価を支払う必要はない」との認識が一般的だと思う。 「提案料を支払わない」はIT業界の常識と言えるが、視野を広げると景色は変わる。例えば建築デザインのコンペでは全部が全部というわけではないが、提案料を支払う企業は多い。デザインは高度な知的作業であり付加価値は高い。成果物(提案)に料
ITベンダーを中心に「脱PPAP」が進んでいる。PPAP▼とは、ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送信し、そのパスワードを別のメールで送るファイル共有方法のこと(図1)。メールの誤送信対策や盗聴防止に有効とされ、多くの企業で導入されていた。 PPAPは、ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送り、パスワードを別送するファイル共有方法。「パスワード付きZIPファイルを誤送信しても、パスワードが分からなければ復号できないので、情報漏洩を防げる」という理由で使われている。 しかし最近では、効果よりもリスクのほうが大きいとされている。最も大きなリスクは添付ファイルが暗号化されているため、中にマルウエアなどが含まれていてもセキュリティー製品で検知できないことだ。このため、IT企業や官公庁などが2021年以降、暗号化ファイルの受信を拒否する脱PPAPを続々と表明している
「DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むことで全ての産業がIT化している。アパレルなど、これまで特許とはあまり関係のなかった企業も無縁ではいられない」。特許に詳しい牧野和夫弁護士はこう指摘する。 2021年12月23日、ファーストリテイリング(以下ファストリ)がITスタートアップのアスタリスクならびに特許ビジネスを手掛けるNIPとの間で争っていたRFID(無線自動識別)を使ったセルフレジの特許を巡る訴訟について、全面的に和解が成立した。 問題となったセルフレジは、くぼみの中に商品や買い物かごを置くだけで商品に付いたRFIDタグを読み取る機能を備えており、「ユニクロ」や「ジーユー(GU)」に設置されている。アスタリスクは同セルフレジの特許を2017年5月に出願。2019年1月に登録された。併せて親特許を含め、関連技術を分割して特許を複数取得した。 ファストリ側は2019年5月に同特許
ユーザー企業がエンジニアを雇用し、自らシステム開発を内製する動きが活発化している。ITエンジニア向け転職サイトではユーザー企業の求人が多く見られるようになり、内製化の機運を感じている読者も多いのではないだろうか。 日経クロステックでもたびたび、その動きを報じてきた。 変わる「システム開発はITベンダーに」の常識 日本企業は長らくシステム開発をITベンダーに外注するのが一般的だった。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書」によると、国内で働くIT人材の7割超がIT企業に属する。対して米国ではユーザー企業に属する方が多くその比率は65%だ。多くの領域のシステムを内製できる米国企業に比べ、日本企業はある意味ITベンダーに開発を依存せざる得なかった。 IPAが2021年10月11日に公表した最新の日米調査リポート「DX白書2021」でも、顧客接点を担い変化の激しいSoE(System of E
野村総合研究所(NRI)は2021年10月18日、コロナ禍が収束した場合の生活者の消費価値観や生活行動を把握することを目的にした大規模インターネット調査「日常生活に関する調査」の結果を発表した。コロナ禍以前の生活状態に完全には戻らないとみている回答者は75%で、理由として「オンライン化・デジタル化が浸透した今の生活様式に慣れた」が20%近くあったことが分かった。 この大規模インターネット調査は2021年7月から8月にかけて、全国の15~69歳の男女個人、1万8800人を対象に実施した。調査の中で、コロナ禍後の生活全体の状況を尋ねたところ「コロナ禍以前の生活に完全に戻る」と回答した人は25%にとどまった。 野村総合研究所が実施した大規模インターネット調査の結果の一部をまとめた図。コロナ禍が収束した後の生活変化の意識と、生活が元に戻らないと考える理由についてまとめている コロナ禍以前の生活に完
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2021年10月8日、傘下のみずほ銀行で2021年8月以降に起こったシステム障害の詳細と、再発防止策の見直しに向けた課題認識を明らかにした。8月19~20日の「5度目」のシステム障害を巡っては、データセンター(DC)の切り替えという「奥の手」を使わなくても復旧させられたという見解を示した。 みずほ銀行に関しては、2021年に入ってから既に8件のシステム障害が表面化している。みずほFGが10月8日夕に開いた記者会見では、8月以降に発生したシステム障害の詳細を説明し、特に「5度目」の障害について時間を割いた。8月20日午前9時から午前9時45分まで、全463店舗で店頭取引ができなくなったという障害だ。午前11時58分まで融資や外国為替の一部取引も不能になった。 関連記事: みずほ銀行窓口業務ストップの真相、DC切り替えをためらい障害が長期化 「4000年に
全日本空輸(ANA)が新型コロナウイルス禍による苦境のなか、ITシステムを内製できる人材を水面下で着々と育てている。対象は入社3年以内の若手社員。既に空港カウンターなどの最前線から異動し、3カ月もたたずに開発プロジェクトの担い手として実務に携わるメンバーもいる。IT内製人材を内製で育て、新型コロナ禍でも次々と新システムを繰り出す「逆襲」の現場を独占取材で追った。 ANAがなぜIT人材を「内製」?荒牧DX室長が明かすデータ活用戦略との深い関係 新型コロナ禍で苦闘を続けるなかでも、システム開発やデータ分析を担うIT人材の「内製」を積極的に進める全日本空輸(ANA)。データ活用による顧客サービスの強化や新たなプラットフォームビジネスに取り組む理由を含め、実質的な最高情報責任者(CIO)を務める荒牧秀知執行役員デジタル変革室長に聞いた。 2021.10.05 密回避に乱気流予測、「逆襲」に向けAN
Q.50人ほどのソフトハウスに勤務する27歳のSEです。現在、大手IT企業の下請けで、顧客先に常駐しています。下請け会社のSEだと顧客先は知っています。雑談時に「あなたの会社の売り上げは70万~80万円ぐらい?」と聞かれ、戸惑いましたが「はい」と答えました。後で発注元のIT企業のリーダーからこっぴどく叱られました。私は不用意だったのでしょうか。 大手IT企業が、顧客先に提示しているSE単金が1人月150万円だったと仮定しましょう。質問者の下請けでのSE単金が70万~80万円だとすると、この大手IT企業は半分も利益を取っている売上構造だと分かってしまいます。それで叱られたのです。 顧客も通常は口に出しませんが、IT企業が利益を取ることは分かっています。顧客側にはITベンダーからの転職者もいるでしょう。また、付き合いが長い顧客においては、おおよその金額構造まで知っていると思います。 筆者は顧客
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