子供のころ仲間を殺されたダニは、成長すると攻撃した種のダニの子供を集中的に食べて「敵討ち」することを、長(ちょう)泰行・千葉大助教(行動生態学)らのチームが突き止めた。害虫防除に活用できる可能性があるという。 チームは、植物に生息するデジェネランスカブリダニと、ククメリスカブリダニとを一緒に育てた。その結果、デジェネランスカブリダニは、卵から成虫になる過程で20匹のうち9匹が殺された。生き残った成虫は、ククメリスカブリダニのいない環境で育てられた成虫に比べ、1.5倍の速さでククメリスカブリダニの幼虫を食べた。 デジェネランスカブリダニは別の種類のダニにはあまり関心を示さなかった。成長期に脅威をもたらした相手を体の表面にある物質で覚えていて、成虫になってから攻撃したとみられる。 長助教は「発育段階の経験が、成長後の振る舞いを決定づけていた。人間の『仕返し』が他の生物にも見られるのは興味深い」