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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (27)

  • ■日本人にとって、電車は部屋だ - 空中キャンプ

    いぜん、イギリス人の女の子と話していたときに、とても興味ぶかくおもったのは、日人が電車で寝るのは信じられないといっていたことだ。平気なのかしら、電車で寝るなんて。ふしぎそうな顔つきをして、そう訊いてくる彼女に、わたしはどう答えていいのかよくわからなかった。 「それは、なにかを盗まれたり、乱暴されたりするかもしれないっていうこと?」「それもあるけど、うーん、若い女の子とかがすやすや寝ているのを見ると、なんだかこわいの。ねえ、ここ電車だよ? っていいたくなる」「イギリス人は、電車で寝たりしないんだね」「しない。そんな人いないよ」。彼女のいわんとしていることは、なんとなくわかる。これはおそらく、電車に対するイメージのちがいなのだ。日人は、電車を、部屋のようなイメージでとらえているのかも知れないと、そのときかんがえた。そうでなかったら、寝ないんじゃないかなあ。 イギリス人にとっての電車とは、見

  • 空中キャンプ - すべてのものが性的であるならば

    他人にはあまり話していないことだが、僕は医者に通っている。性欲がつよすぎるのだ。性的な欲求が、自分自身で抑制できる範囲をすっかりこえてしまったため、専門医のところへ通って治療している。治療の効果については、よくわからない。性欲はまったく減退していないが、治療そのものは続けている。治療とはたいてい、そのようなものだと僕はおもう。にきびができたとき、僕はクレアラシルを塗ったけれど、それが効いているのかどうかについてはよくわからなかった。治療とはある種、呪術的な要素を含んでいるのだと僕は想像する。人は僕のことをわらうが、性は誰にとってもいささかむずかしい問題である。僕はただ、その取り扱いに多少の困難があるだけだ。それを恥じてはいない。 「先生、もうがまんできません。だってほら、あの女性、服の下は全裸です」と、僕はいった。先生は、蝶の羽化をながめる子どものような目で僕をみてから、手元のノートにいく

    kiringo
    kiringo 2006/12/26
  • 空中キャンプ ■「全体主義の起原(三) 全体主義」/ハンナ・アーレント

    この長いテキストについて、すべてを論じるのには時間がかかるし、それなりの準備も必要になるため、今回は、ひとつだけ要点をぬきだして書いてみたいです。それは、「全体主義は大衆運動であり」「指導者たちは、プロパガンダによって人為的に作られたとは言えない物の人気を享受していた」ことについてである。わたしがこのテキストでいちばん恐怖をかんじたことは、やはりこの点だった。ヒットラーも、スターリンも、大衆の熱狂的な支持をえて、また、きわめて民主主義的な手続きのもとに、政権を成立させている*1。まさに市井の人々にこそ、つよく支持されていたわけである。やばいよなあ。全体主義運動という問題の根が深いのは、それが国民の総意にもとづいて始動していることにある。 「権力は下からくる」といったのは、ミシェル・フーコーだ。この場合の「下」を、大衆や世論、同調圧力といいかえてもかまわないだろう。日においても、たとえば

    kiringo
    kiringo 2006/11/03
    読んでみよう。図書館で借りて。
  • 空中キャンプ 「バートルビー」における偶然性と潜勢力について/中

    (承前) アガンベンは、潜勢力という聞きなれない概念を説明するさい、「建築家は、建築をしていないときでも、建築家であることができる」という比喩をもちいている。たとえば、休みの日に家でくつろいでいる建築家は、たんに建築をしていないだけであり、潜勢力としては建築家である、というわけだ(かりに、建築家がじっさいに建築をはじめた場合、潜勢力は、現勢力に移行する)。すなわち、人は、行為する(存在する)ことができるし、また同時に、行為しない(存在しない)ことができる。前述したバートルビーの定式、「しないほうがいいのですが」を読み解く軸となるのも、この潜勢力だ。アガンベンは、目にみえない可能性としての潜勢力をきわめて重要視している。 しかしこれは、なんというか、いっけんあまりにも自明であって、こうしてわざわざ説明をするほどのことでもないように見える。だが、これを「投票」に置きかえてみると、潜勢力の意味あ

    kiringo
    kiringo 2006/10/21
    下が激しく楽しみ。アレント、ジジェク・・・いろいろ読んでらっさるなぁ。
  • http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20061018

    kiringo
    kiringo 2006/10/20
    つよきでグイグイ
  • 2006-10-16 - 空中キャンプ

    ごくたまに、今まで積みあげてきた自分の人生が、とても空虚なものにおもえてきて、なんともせつなくなり、ああ、俺の人生ってからっぽ、と呟くタイミングがわたしにはある。定期的におとずれる、あの状態がじつにしんどい。エンプティだなあ、わたしは。もうちょっと、ましな人生はなかったのかね、と問いただしたくなる体たらくである。いっそのこと、仕事とかぜんぶやめて、家で写経でもしようかしら、五年ほど。などとつくづく感じながら、発泡酒を飲みつつ、コンビニおでんをべていると、しだいにますますやりきれなくなってきて、しまいには、ともだちの女の子に、きわめて無内容なイーメール、すなわち、「きのうシモキタで刺身たべました。うまかったナリ」等を送信する羽目になる。だめである。だめの底をついてしまった気がした。返信がこない。くっ。 この空虚の正体を見きわめる、などとかんがえるとろくなことにならない。むなしさにはあえて対

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    kiringo 2006/10/17
    どうしてこういう文章書けるかなぁ・・・平伏
  • 空中キャンプ - わたしの祖父

    「ほら、これ、つかまり立ちの写真」と、弟はわたしに、携帯のカメラで撮った写真を見せた。十ヶ月の息子。ちゃぶ台に手をのせて、立ち上がっている。あいつはすでに父親なのである。去年の暮れに、はじめての子ども、男の子が生まれたのだ。めでたいことである。 弟の嫁は、がんらいきわめて頑迷な性格で、息子の名前を決めるさいも、周囲の意見をすべてきっぱりとはねのけた。「なんか、だせえ名前だけど、あいつがそれじゃなきゃいやだっていうから」という、いささか消極的な理由で、弟は、息子の命名にかんするあらゆる権利を放棄せざるをえなかった。結果、わたしの甥っ子は、いまひとつぱっとしない名前をつけられ、一日におむつを七枚ずつ消費しながら、元気に生きているという。なんだかふしぎなものだ。息子の話をする弟。こいつには、子どもがいるのか。すげえな。「息子のつかまり立ち」をたのしそうに語る弟をながめながら、わたしは感慨をおぼえ

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    kiringo 2006/09/28
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