「味に対する肯定的評価」を表す言葉としては、「うまい(うまし)」の方が遙かに古い言葉です。 飛鳥奈良時代以前から「味が良い」という意味で使われており、そこから「すばらしい」、「立派だ」、「美しい」という意味が派生したと言われています。古事記の「可怜し国なり」などはこれです。以降、現代まで連綿と「味が良い」という言葉として生き残っています。特定の方言というわけではなく、例えば中国方言では「うみゃあ」になりますが、これは音韻変化によるバリアントです。 「おいしい」 は, もともと室町時代に成立した女房詞 「いし」(いしい)に、江戸時代 「お」 が冠せられて出来た語です。 「いし」は「よい」、「上手だ」、「見事だ」、「とてつもない」等の意でしたが,、これを味覚に関して使うのが女房詞としての特色でした。江戸時代になってからも、近松門左衛門の「浦島年代記」における「その股くらにはさんだ貝がいしい事で