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ブックマーク / tojikoji.hatenablog.com (42)

  • 【書評】アンナ・カヴァン『氷』 - Under the roof

    氷 (ちくま文庫) 作者: アンナカヴァン,Anna Kavan,山田和子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2015/03/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (15件) を見る 寒冷化により世界が緩やかに破滅へと向かう中、異常な執念でひとりの少女を地の果てまで追いかける男の話。 主人公である「私」は、冒頭から「少女」へ会うために車を走らせるのだが、少女はすでに結婚していて夫とともに暮らしている。 やがて戦乱により少女は夫のもとを離れるが、今度はある小国の独裁者である「長官」と一緒にいることを突き止め、少女に会うためだけに私は長官の治める国へと単身乗り込んでいく。 ストーリーはこの繰り返し。私がひたすら少女を追いかけ、少女を見失っては何らかの情報を得てまたまたとんでもない執念で少女を追いかける。世界は氷によって緩やかに破滅へ向かっていて、さらには国家間の戦争も行われている

    【書評】アンナ・カヴァン『氷』 - Under the roof
  • 【お題】個人的なネット記事大賞2016『人生が狂っちゃう本』 - Under the roof

    今週のお題「私のブログ・ネット大賞2016」 京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思うベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫ - 天狼院書店 今年読んでよかった記事はこれ。何度も読み返した。 冒頭の「て読むのめんどくさい」という導入から大好きだ。確かにその通り。でも、読むのをやめられない。 を読んで「人生が狂う」ことは、確かにある。ただ、それはかなり限定された条件においてだとも思う。読むたびにの影響を受けちゃうような人もいるのかもしれないけど、「人生が狂う」くらいの経験を読書から得るにはそれ相応の自体の強さと、読み手の感受性も求められると思う。 例えば僕が今この記事のリストにあるを読んで人生狂うほどの影響を受けることはまずないだろう。大学を出てサラリーマンを10年以上。結婚して子供がいて、今は我が家において子どもたちが生活の中心。これから

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  • 【書評】『あなたのための物語』なぜ、死を受け入れなければならないんだろう? - Under the roof

    あなたのための物語 作者: 長谷敏司 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2013/11/15 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 【書評】『死すべき定めーー死にゆく人に何ができるか』 - Under the roofを読んだ後、死について書かれた小説をいくつか読んでみようと思った。丁度、『【漫画】『バーナード嬢曰く。』3巻 - Under the roof』の2巻にて、トルストイの『【書評】『イワン・イリイチの死』 - Under the roof』とともに紹介されていたのがこの小説だったので、書を手に取ってみた。 物語のスタートは、『イワン・イリイチの死』と同じく、主人公が死ぬところから始まる。『イワン・イリイチの死』では、イリイチ自身の葬儀の様子から始まったが、書では主人公サマンサ・ウォーカーが、自宅で血反吐を吐きながら苦しんで死ぬ様子が描写さ

    【書評】『あなたのための物語』なぜ、死を受け入れなければならないんだろう? - Under the roof
  • 【書評】この残酷さ、どう受け取る?『言ってはいけない』 - Under the roof

    言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書) 作者: 橘玲 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/15 メディア: 新書 この商品を含むブログ (16件) を見る ようやく読んだ。 発売当時、「ものごとの質をついている」とか「普段は隠されている真実について触れられている」とかで、結構話題に上っていたことを覚えている。実際ものすごく売れていたらしい。今も屋で平積みされていた。 「スポーツ選手の子だから運動神経がいい」「両親ともガタイがいいからあの子は体が大きい」「医者の子だけあって頭がいい」 こういう会話は誰でも普通にするだろう。こういう話をわざわざ「遺伝の話」として堅苦しく裏付けを取ったりはしない。日常用いる「今日は天気がいいですね」レベルの話だ。 「どんくさい親だから子供も運動神経が悪い」「親が太ってるからあの子もデブだ」「親が中卒だからあの子も頭が悪い」 これもさ

    【書評】この残酷さ、どう受け取る?『言ってはいけない』 - Under the roof
  • 【書評】『イワン・イリイチの死』 - Under the roof

    イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫) 作者: トルストイ,望月哲男 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2006/10/12 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (34件) を見る 再読。 きっかけは、先日読んだ『死すべき定め』 tojikoji.hatenablog.com 『死すべき定め』において、冒頭で『イワン・イリイチの死』のあらすじについて触れられる。 物語は、イワン・イリイチの葬儀からスタートする。 タイトルは『イワン・イリイチの死』で、しかも葬儀の様子から開始するので、イワン・イリイチは間違いなく死ぬことが読者に対し明らかにされる。葬儀のシーンの後、時間は巻き戻り、イワン・イリイチが生きていたころ、どんな人物だったのか、どんな生活をしていたのかが描かれ、そしてなぜ死に至ったのか、死に至るまでに何を感じたのか

    【書評】『イワン・イリイチの死』 - Under the roof
  • 【書評】『死すべき定めーー死にゆく人に何ができるか』 - Under the roof

    死すべき定め――死にゆく人に何ができるか 作者: アトゥール・ガワンデ,原井宏明 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2016/06/25 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る よく忘れることなんだが、人間は、いずれ必ず死ぬ。 それは遅いか早いかの違いだけだ。僕だって当然死ぬ。ただ、今じゃないとは思っている。できれば子供たちの成長を見届けて、孫も生まれて家族に囲まれる幸せを感じながら死にたい。 だが、今の世の中の「死」の現状は、こんな甘い幻想を持って死ぬことを許してくれていない。 事故死などの死に方でなく、老人になって充分寿命をまっとうした後なら誰だって「家で死にたい」「家族に看取られたい」と思うことだろう。しかし、年齢を重ねて体の自由が利かなくなり、自分の身の回りのことができなくなったり、場合によっては寝たきりになってしまった場合、現在はほとんどの場合施設に入

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  • 【書評】『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』 - Under the roof

    頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある 作者: 小川大介 出版社/メーカー: すばる舎 発売日: 2016/03/17 メディア: 単行 この商品を含むブログ (1件) を見る 4歳の長男を見ていると、教育って難しいとつくづく感じる。 言葉でのコミュニケーションは、ほぼ滞りなくできる。自分で事、トイレ、着替えなどの身の回りのことはできるし、こちらからの「お手伝いして」とかのお願いを聞くこともできる。 ここまで来ると、そこから一段上がった「教育」をどうしようかということはとても悩ましい問題になってくる。 ひらがなを読む、数字を数える、なんて基礎になる部分をどう教えるか。個人差はあるだろうが年長さんになるころにはみんなひらがなを一通り読めるようになっているイメージだし、人によっては子ども英会話に通って簡単な自己紹介を英語で出来るようになっている子さえいるだろう。今の

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  • 【書評】『モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』 - Under the roof

    モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い 作者: 福田ますみ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/02/18 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 2005年12月、長野県御代田町の丸子実業高校で、当時1年生だったバーレーボール部員の男子が自殺をした。 自殺した男子の母親は、男子がバレーボール部内で「モノマネによるからかい(男子は声がかすれているというコンプレックスを持っていた)」や「暴力」によるいじめを受け、それを苦に自殺したとマスコミに証言。 これに対し、学校側は記者会見で「いじめはなかった」「あの程度のモノマネをいじめと捉えられたら、学校生活はやっていけない」といった趣旨の発言をし、各方面から大バッシングを受ける。 事件から1か月後、自殺した男子の母親は、いじめについて書き残したノートや男子が精神科を受診した際

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  • 【書評】負の連鎖で起きた悲劇『「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち』 - Under the roof

    「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち 作者: 石井光太 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/08/18 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る 子を持つ親としては目を覆いたくなるような、虐待、育児放棄、殺害、死体遺棄が行われた3件の事件のルポ。いずれもテレビやネットのニュースをセンセーショナルに賑わしていたものばかりだ。すべて2014年から2015年と最近起きた事件で、今年開かれた裁判内容さえルポには含まれている。 虐待死を起こした犯人に対して、僕たちはよく「犯人も同じ目に合わせろ」という言葉を口にしたくなる。 「暴行をした」「事を与えなかった」「タバコの火を押し付けた」「首輪をつけて監禁した」などの目を覆いたくなるような事件報道。それに対し、テレビ報道ではコメンテーターたちの「酷い」「残酷だ」といった意見。ネット掲示板では、コメント欄にて「コイツも同じ目にあ

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  • 【書評】『「イスラム国」の内部へ:悪夢の10日間』 - Under the roof

    「イスラム国」の内部へ:悪夢の10日間 作者: ユルゲン・トーデンヘーファー,津村正樹,カスヤン、アンドレアス 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/06/18 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る 一時期よりもかなり国内での報道は落ち着いた感がある。が、今でもISに関する報道はテレビ、新聞、インターネット上に流れ、その大部分は「襲撃」「戦闘」「空爆」「死亡」といった文字が躍っている。ISと西側諸国との戦争状態に関する報道がほとんどで、たまに目にするIS側の声明発表もプロパガンダがほとんど。過激な内容が多く、いったいISはなぜこのような主張を繰り返し、西側諸国との争いを続けているのか、という深い部分は自力で調べないと見えてこない。 書は、そのISにジャーナリストとして渡り、自らを国家と称するISの先頭にかかわる人だけでなく、ISが実質的に支配しているシリア

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  • 【書評】生命の歴史最新版『生物はなぜ誕生したのか』 - Under the roof

    生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学 作者: ピーター・ウォード,ジョゼフ・カーシュヴィンク,梶山あゆみ 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/01/13 メディア: 単行 この商品を含むブログ (6件) を見る 「今わかってること」が網羅された一冊。 人類の歴史は、有史以降について「大きく変わる」ということがそれほどない。 マクニール著の『世界史』は、全世界で40年ほど読み継がれているベストセラーだが、この世界史に記されている内容を覆すような大きな発見はまず起きない。確実にわかっていること、記録として記されていることが多く、謎となっている部分も少なからずあるが、主だった世界の歴史については判明していることが多い。 だが、これが地球誕生から生命の発生、そして進化となるとそうはいかない。 僕の大好きなスティーブン・ジェイ・グールドの『ワンダフルライフ』は、19

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  • 【書評】久々に笑った科学本『ざんねんないきもの事典』 - Under the roof

    おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典 作者: 今泉忠明,下間文恵,徳永明子,かわむらふゆみ 出版社/メーカー: 高橋書店 発売日: 2016/05/21 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る これは面白かった。久々に声を出して笑った。 児童向けので、漢字には読み仮名がふってある。なんだけど、大人が読んでも面白くて笑える。 よくあるインパクト重視の過度に生き物の生態を誇張したやネットの記事とは違い、書ではまず冒頭で「進化って、なんだ?」と題し生物の進化の仕組みをわかりやすく解説してくれている。 突然変異や自然淘汰の仕組みをイラストを交えて説明してくれるので、生物に備わっている「ざんねんな」能力も、進化の過程によって獲得したものだという前提を学ぶことができる。 そして改めて、「ざんねんないきもの」たちの紹介。 見出し、解説、イラスト、生

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  • 【書評】読めばきっと走り出したくなる『BORN TO RUN 走るために生まれた』 - Under the roof

    今年の秋に、近隣の市で開催されるフルマラソンにエントリーした。 エントリーしてしまった… ランニングは好きで、気が向いた時期は集中して走ったりしているんだが、仕事が忙しい時期などで中断してしまうとそこからまたしばらくは知らない時期が続いたり。 つまりは、モチベーションの問題で、やる気が出なくなるとランニングの習慣が弱まっていってしまう。 だから、市民マラソン大会に参加する、などの明確な目標があったほうがランニングを続けるためのモチベーション維持になるし、実際走るのが習慣化しているときのほうが体調もいい。 で、その走るためのモチベーションを生むために、一緒にマラソン大会にエントリーした人からこのを薦められた。 BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族” 作者: クリストファー・マクドゥーガル,近藤隆文 出版社/メーカー: 日放送出版協会 発売日

    【書評】読めばきっと走り出したくなる『BORN TO RUN 走るために生まれた』 - Under the roof
    kitaazabu48
    kitaazabu48 2016/07/17
    それなッ| 【書評】読めばきっと走り出したくなる『BORN TO RUN 走るために生まれた』 - ...
  • 【お題】なんとなく本棚から手に取る、短編集3冊 - Under the roof

    今週のお題「わたしの棚」 うちは今、棚が汚い。 絵用の棚を、リビングの一角に設えてあるのだが、中は正直ぐちゃぐちゃ。 絵て、サイズがまちまちだったり、飛び出す絵や音の出る絵など、ギミックに凝っているせいで妙に分厚くなって棚に収まりが悪くなっているものがあったりする。 片付けもできるだけ子供たちに自主的に片付けさせているので、絵の順番や背表紙の並びの美しさなんかを気にせずに棚に入れていくため、雑然とした感じになってしまう。仕方ないことだけど。 大人用の棚もあることはあるんだが、こちらも今の家に引っ越してくる前に購入した安い棚を使っているため、あんまり好きな感じの仕上がりではない。 なので、好きを自称しているのにもかかわらず、取り立てて棚に関するこだわりのエピソードとかが浮かばない。 ただ、棚自慢のほかに、棚にある「なんとなく手に取ってしまう」の紹介でもいいと

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  • 【お題】今年の庭の紫陽花の写真と、紫陽花に自分自身を重ねる僕の話 - Under the roof

    お題「今年の紫陽花の写真」 これがうちの庭の紫陽花。植えてから2年経った。 うちにあるのは白い花が咲くこのひと株のみ。 植えたばかりの頃は頼りないただの枝だったんだが、こうして毎年綺麗に咲いてくれるようになった。 ==== 好きな植物は?と聞かれたら、僕は即座に「紫陽花」と答える。 だから僕のはてなのアイコンは昨年咲いた紫陽花だし、好きだからこそ庭にも植えた。このお題は、僕にとっては紫陽花愛を語るためのまたとないチャンスだ。 紫陽花のイメージは?と聞かれれば、大体の人が「雨」のイメージを描くだろう。 向日葵が太陽、桜は春、コスモスは秋、梅は冬と春の間、朝顔は夏の早朝。そんなふうに、この花といえばこれというイメージがある。 紫陽花のイメージは、おそらく誰に聞いても「雨」か、あとは「梅雨」とか「カタツムリ」になるだろう。 そして、僕は雨が好きだ。 子供の保育園への送り迎えは大変になるし、大好き

    【お題】今年の庭の紫陽花の写真と、紫陽花に自分自身を重ねる僕の話 - Under the roof
    kitaazabu48
    kitaazabu48 2016/06/22
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  • 【書評】確かに全て裏切られたミステリー『その女アレックス』 - Under the roof

    その女アレックス (文春文庫) 作者: ピエールルメートル,橘明美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/09/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (137件) を見る 流石『このミス!』1位。 小説読むならミステリーよりSF派の僕でも、見事に引き込まれてしまった。 前述のとおり、僕は普段SFばかり読んでいて、あまりミステリーは読まないんだが、『このミステリーがすごい!』とかで評判がいい奴は個人的にハズれたことがないので、数か月に1冊とか気が向いたときに読むようにしている。 で、書は『このミステリーがすごい!2015』で海外編1位となった作品。 海外ミステリで初の6冠達成とか、書きっかけで作者のピエール・ルメートルの同シリーズミステリが翻訳出版されて、屋さんでずっと平積み状態で売られていたりと、とにかく中身以外の前評判だけでも凄まじい作品。 帯にも『あなたの予想

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  • 【書評】カモフラージュ率100%『自然のだまし絵 昆虫の擬態』 - Under the roof

    自然のだまし絵 昆虫の擬態: 進化が生んだ驚異の姿 作者: 海野和男出版社/メーカー: 誠文堂新光社発売日: 2015/05/07メディア: 単行この商品を含むブログを見る このなかにある生き物が隠れています。さてどこでしょう?というテロップのもとに画面が数秒写し出され、「正解はこちら」のセリフともに潜んでいた生き物がクローズアップされて正体を暴かれる。そんなシーンに出てくるのは、だいたいが昆虫、僕のイメージではハナカマキリが多い。 書はそういった「昆虫の擬態」に焦点を当てた写真集だ。小学生向けの教材なんかでも、どこにいるかな?みたいな表記とともに自然の中に擬態している昆虫の写真を目にすることがある。言うなればあれの大人用。 擬態なので、カモフラージュにより周囲の景色に溶け込んでいる写真がメイン。その方法は多種多様で、木の葉や枝や幹に化けるもの、地面に溶け込むもの、などのほかにも、毒の

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  • 【書評】過酷な環境と祈りの民『極限高地』 - Under the roof

    極限高地 チベット・アンデス・エチオピアに生きる 作者: 野町和嘉,ナショナルジオグラフィック出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社発売日: 2015/07/01メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る サッカーワールドカップ南米予選。南米と言えば、ブラジル・アルゼンチンという2強、ブラジルワールドカップで日が負けたコロンビア、南アフリカワールドカップで3位に輝いたウルグアイなど、強豪国ばかりだ。そんなサッカー強豪国が、南米予選のアウェーでは「引き分けで御の字」とする代表チームがある。ボリビア代表だ。 ボリビア代表チームは、有名選手等もおらず単純なチームの強さはブラジルなどに比べ相当劣る。ここしばらくはワールドカップの出場もない。だが、ボリビアの首都ラパスで行われるホームゲームは、その特異な環境により圧倒的にボリビア代表が有利になる。 ラパスは標高3600メ

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  • 【書評】『人類を変えた素晴らしき10の材料』 - Under the roof

    人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する 作者: マーク・ミーオドヴニク,松井信彦出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2015/09/28メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る 「材料」って言葉を聞いて、まず何を思い浮かべるだろうか?例えば、建物の材料と言えば?木、鉄、煉瓦、コンクリート、ガラス…パッと思いつくのはそんなもんだろうか。 木は自然のものだからわかるとして、それ以外の材料が、どのような方法で作られているか、建物の材料として一般的になったのはいつごろか、なぜほかの材料よりもコンクリートやガラスが建材として優れているか、などと聞かれてすぐ答えを出せる人はいるだろうか。 例えば鉄は、建物の材料だけでなく、普段使っているスプーンやフォークなどの器、書類をまとめるためのクリップ、乗り物、家電、等々…ごくごくありふれたものとして身の回りに無数

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  • 【書評】子供たちと一緒に見たい『生きものたちのつくる巣109』 - Under the roof

    生きものたちのつくる巣109 作者: 鈴木まもる出版社/メーカー: エクスナレッジ発売日: 2015/10/15メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る こういう大好き。僕は昔から図鑑が大好きだった。幼稚園児の頃からの図鑑マニアだ。年少組の息子にはまだ早いかな。子供たちがもう少し大きくなったら一緒に見ようと思う。 中身はタイトルそのまんま。生きものたちの『巣』に焦点を当て、どうやってその巣を作るか、その巣でいったい何をするのか。109種類すべて、丁寧なイラストで外観だけでなく断面図や制作の経過なんかも含めてわかりやすく解説されている。 例えばクモの巣なんかも、どんな順番で糸を張って作るかがイラストで順を追って説明されている。普段は見かけると陶しいだけのクモの巣も、実際は計算された立派な構築物に見えてくるので、次にクモの巣を見かけたら慎重に観察してみようという気になっ

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