「もう少し早く鉄道廃止を受け入れていたら」と、鉄道からバス転換を決断した新ひだか町長は悔やむ。イトモス研究所所長・小倉健一氏によれば、「鉄道ファンによるセンチメンタルバリュー(情緒的な価値)が過大に、そして、当たり前のように評価され、地方がますます疲弊している現実が明らかになった」と指摘する。一体、赤字ローカル路線をめぐって、いま、何が起きているのか。 しかし、日本における赤字ローカル線をめぐる議論は、「鉄道ファン」である記者・メディアが手がけていることが多く、センチメンタル(情緒的)で、偏った議論になりがちだ。また、自治体の政治家たち、行政も、街のシンボルである鉄道がなくなることで批判を喰らうのを恐れているようで、基本的に反対(しかし自らの財源からの支出にも反対)という立場を貫いている。 しかし私たちの生活にとって大事なことは、地域経済、そして日本社会の発展であり、鉄道網を維持することで