非常にむずかしい。 わたしが経済学者の中で いちばん尊敬しているのが ケインズという人なんですけど。 よくケインズ政策は終わったなどと 言われていますが、 この本をよく読むと そのような政策論に還元できない 非常に深い思想を見いだせるのです。 おそらく経済学の 最大の古典のひとつと言われて、 ものすごく影響力があったんですね。 それには、理由があるんです。 彼と同じ時代に、 カレツキーというポーランドの人が、 ケインズとほとんど同じような理論を 作っているんですね。 ところが、 カレツキーの理論というのは、 ケインズほどは、有名にはならなかった。 もちろん、ケインズほどの 深みがないことはたしかなのですが……。 このカレツキーが、 ポーランドからイギリスに渡った時、 「自分の理論が議論されていたが、 それは自分の名前ではなく、 ケインズの経済学として論じられていた」 と驚いたほど、とても近