リアルの小売店舗は、ネットに飲み込まれてしまうのか。そうとは限らない。ニューヨークにあるメディア型店舗「ストーリー」は、売り場面積あたりの売上が百貨店の12倍にもなるという。小売フューチャリストのダグ・スティーブンスは「今後、小売店舗は、最先端の技術を駆使して、消費者に『圧倒的に記憶に残る経験』を提供する空間になるだろう」と予測する――。 マージンではなく商品の「紹介料」で稼ぐ 新時代の小売業者にとって唯一の狙いは、利用可能なチャネルをすべて駆使し、ブランドの意を受けて売り上げを大きく伸ばすことにある。これは、ひたすら自店舗内での売り上げを重視する従来の店とは異なる。 未来のショッピング空間は、自らを「全チャネル」のハブと位置づけ、自社や仕入先、さらには競合他社も巻き込んで顧客ニーズに応える。そう、競合他社さえも活用するのだ。なぜなら、誰がいつどのように売り上げを生み出すかという点よりも、