横山広美(よこやま・ひろみ)/東京大学教授。1975年生まれ。博士(理学)。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構副機構長・教授。東京理科大学で博士号を取得後、専門を物理学から科学技術社会論に変更。AI倫理や大規模科学技術の政策課題など、科学と社会の問題について研究している。(撮影:梅谷秀司) 日本の大学の理系学部は、他国と比べ学生の女性比率が非常に低い。その背景には、「優秀さは男性のものであり女性には不要である」という「社会風土」があると本書は指摘する。 ──日本では「女の子は数学が苦手」と、昔からいわれてきました。 今日では多くの研究者が、理数系の学問における能力の違いは男女差ではなく個人差によるものだと考えています。国際的な学力テストの結果も、日本の15歳の成績は男女でほぼ同等です。けれど大学進学の段階になると、成績の差をはるかに超えて日本の女性は理系分野、とくに数学・物理