かつて「一億総中流社会」と言われた日本。戦後、日本の経済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛な中間層だった。 【写真】「企業にも、国にも、頼れない」…小野さんの過酷な現実 しかし、現在、日本の中間層は明らかに貧しくなった。日本の「中流」は危機にある。 その大きな原因の一つが「就職氷河期世代」の非正規雇用だ。 派遣社員(42歳・男性)の過酷な現実を取材した。 【本記事は、NHKスペシャル取材班『中流危機』(8月23日発売)から抜粋・編集したものです。】 「就職氷河期世代」の現実 戦後長らく、日本経済は右肩上がりの成長を続けてきたが、バブルが崩壊した1990年代以降、長い下り坂をくだるような低迷を続けてきた。 とりわけ深刻な影響が及んでいるのが、現役世代の多くを占める、いわゆる「就職氷河期世代」だ。 明確な定義は存在しないが、概ね1993~2004年に学校卒業期を迎えた者を指す。