統合失調症は、人種、民族、地域を越えて、その生涯有病率の0.6~1.9%と言われる精神疾患の1つである。むかし精神分裂病と呼ばれた時代もあるが、無 用な社会差別や誤解を生んだため、いまでは統合失調症と改名されている。近年ではこの疾患の入院患者が減少傾向にあるとはいえ、日本でも数十万人の入院患 者がいて、病院のベッド占有率は最も高い。思春期以降に、ありもしない悪口が聞こえてきたり、支離滅裂な話をすることで、この病気が発見される。でも発症 早期に薬物治療を開始すると、かなりの治療有効性を発揮することが知られ、患者の社会復帰も可能となる。 アメリカの診断基準(DSM4)に従えば、幻覚、妄想、解体会話、緊張行動、陰性症状のいずれか2つ以上を1ヶ月以上に渡り呈することが最低必要条 件になっている。この診断基準によれば類似した疾患に、統合失調症様障害、短期精神病障害、失調感情障害、妄想性障害、双極性障