かつて食人文化があったニューギニア島で発見されたクールー病や、1990〜2000年代にかけて、牛から人へ感染するとして世界的な問題に発展した牛海綿状脳症(BSE)。これらの原因はプリオンという特殊なたんぱく質で、正常なたんぱく質がこのように異常化することを「プリオン化」と呼びます。「プリオン病の研究は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患を解明する鍵になる」と水澤英洋先生(国立精神・神経医療研究センター 理事長/総長)は言います。これまでに2人のノーベル賞受賞者が生まれ、近年また徐々に熱を帯びるプリオン病の研究が世界と日本でどのような状況にあるのかを聞きました。 (「人類が経験したもっとも悲惨な病気の1つ『プリオン病』の実態」から続く) プリオン病研究の起点「クールー病」 1950年代、ニューギニア島に住むフォアという種族の中に、それまで知られていなかった新たな病が発見されました