最近は特に奨学金の延滞額が増えたりしていることで、いろいろな報道がありますでしょう。この間も九州のほうで、奨学金が返せず自己破産を申請された方がいるようですね。そうしたことから「日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の貸与を受けたら人生の終わり」とでも言わんばかりの報道も、実際に目にします。 奨学金はもはや社会インフラ でもね。そういう報道が蔓延してしまうと、「家が貧しいが奨学金を受けて大学へ行きたい」というような人が奨学金を受けなくなり、結局は人材の芽を摘むことになる。我々はそうしたイメージに負けずに、「教育の機会均等」の価値を訴えていかなくてはいけない。意欲があって、能力があって、ただ親の経済力がない。そういう子供たちのための制度であることを、しっかりと伝えていかなくてはと思っています。 日本学生支援機構は、日本最大の奨学金貸与団体です。2014年度の事業費総額は、予算ベースで1兆17
幼子を連れ一家で命からがら逃げてくる大量の難民。その様子を報じ続けている世界のメディアを通じて発信される日本のメッセージとして、本当にそれは意図したものであり、かつ、ふさわしいものだったのでしょうか。 実際に何をどう伝えていたのかを細かく見ていくと、受け止め方に大きなギャップを生む表現の存在にたどり着きました。今回はこの問題をいつものように動画を見ながら、考えてみたいと思います。 ネット動画はアイデアの宝庫、それでは今週もいってみましょう。 伝えられるメッセージの内外格差 日本時間9月30日朝、NHKがニューヨークから生中継もした安倍首相の記者会見。そこで外国人記者による質問への答えに、大きな注目が集まりました。 国際メディアはこれについて、 「安倍首相:日本は難民支援の用意はあるが、受け入れはしない」(ワシントンポスト/AP通信) 「安倍首相、日本はシリア難民受け入れより国内問題の解決が
河野:4~6月期のGDP統計の結果、今の日本が直面している構造的な問題が明らかになったと考えています。実は今年の春頃から、日本経済に様々な問題が見えてきました。一言で言えば、「アベノミクスの4つの誤算」です。 4つ、もあるのですか。 河野:はい。まず1つ目が、実質ベースの円安がかなり進んでいて、しかも海外の景気が持ち直しているのに、供給制約から実質輸出が伸びていない点。 2つ目が、企業の業績が回復しているのに、設備投資が更新投資や省力化投資の域を出ず、能力増強投資となっていない点。 3つ目が、個人消費が弱い原因は、消費増税の反動減だけではなく、実は円安で実質購買力が損なわれているという点。 そして4つ目が、人手不足や資材価格の高騰によって公共投資の執行が遅れている上に、いわゆる「クラウディング・アウト(政府の追加財政によって、結果的に民間投資や個人消費が抑制されてしまうこと)」の効果で、民
約30年かけて街作りを地道に進めたことが功を奏した格好だ。人口減少社会に突入した日本も、各地域が長期的な視点に基づいて都市開発の戦略を練る必要性がある。特集の終章では、右肩上がりの成長という幻想を約10年前から打ち捨て、日本でも長期ビジョンに沿って街作りを進めている富山市に触れた。 世界5都市がコンパクトシティの先行事例 米国のポートランドと北陸の富山。何らつながりもなさそうな両都市だが、実は共通点が存在する。郊外の開発を極力控える一方で、街の中心部にヒト、モノ、カネの機能を集約する「コンパクトシティ」の先行事例として世界で注目されているのだ。OECD(経済協力開発機構)は両都市に加え、パリ、メルボルン、バンクーバーの5都市について、2年前に分厚い研究書を公表した。 そもそも、コンパクトシティとは何か。 OECDは「定義が曖昧で論争の的になることも多いが、近年、都市戦略にとり入れられること
日本で「スタートアップの聖地は?」と問えば、おそらく十中八九は「シリコンバレー」という答えが返ってくるだろう。それほど日本にとって起業=シリコンバレーのイメージは強く、実際に今も多くのイノベーションが米西海岸から生まれている。 しかし言わずもがなではあるが、新しいサービスやビジネスの創出に挑んでいるスタートアップは、米西海岸以外にも無数にある。本連載では、欧州を中心に、ロシア、中東、アフリカ地域から世界を変えようとしている起業家を紹介していく。 ネットメディアの普及によって、日本にいながらにして世界のスタートアップ情報に簡単に接することができるようになった。ただし、その中で欧州・中東地域のスタートアップ情報が日本語で提供されている例は少ない。本連載の狙いは、こうしたギャップを埋めることにある。 第1回は、化石燃料エネルギーを使わない電気飛行機を開発、世界一周を目指すスイスのソーラー・インパ
先進国では若者の就職が厳しくなっている。2013年には欧州の若者の4分の1近くが職にあぶれた。だがこの統計の裏にはある矛盾が潜んでいる。コンサルティング会社の米マッキンゼー・アンド・カンパニーで公的部門を担当するマッキンゼー・センター・フォー・ガバメントの新たな報告によれば、新入社員向けのポジションに十分な数の適任な卒業生を確保できていると答えた企業経営者は、全体のわずか5分の2にとどまった。 調査対象となった8カ国(若者層の失業率は単に「高い」から「記録的に悪い」までさまざま)では、平均で経営者の3分の1が「必要なスキルを持つ人材を見つけられないことが深刻な問題だ」と回答している(図を参照)。 この調査結果は、現在の教育システムが提供する教育の内容と企業経営者のニーズがかみ合っていない事実を反映している。機械化が進みテクノロジーが発展すれば、次世代の人間は働くためにより高い能力を身につけ
ネイティブに何か言われると話せなくなってしまう原因の1つは、相手の英語がストレートすぎるからです。遠回しに丁重に話しかける日本語と違う、英語の遠慮のなさに戸惑ってしまうのです。年下や部下がネイティブの場合は「失礼な言い方をするやつだ」とカチンとくることもあります。 英語は率直な言い方をする言葉です。そこが分かれば、ネイティブに余裕をもって対応できるようになります。 英語の社内公用語化は失敗する 英語が社内公用語として定着して、皆が英語で議論するようになると、「やっぱり英語はやめよう」という声が広まるのではないかと予想しています。「意思が伝わらないから」ではありません。「社内の空気が悪くなるから」が理由です。 海外では日本人同士でも英語で話さなくてはならない時があります。外国人が1人でも入れば議論はすべて英語だからです。ぼくがアラビアで部長をしていた時、部下の日本人と議論になる時がありました
半導体(DRAM)や液晶ディスプレー、薄型テレビ――。韓国サムスングループを語る上で必ず話題に上るのが、かつて日本企業が栄華を誇っていた産業分野で同社がトップに上り詰めたことだ。筆者が2004年9月に赴任したサムスンSDIが手がけていたリチウムイオン電池事業もその1つ。当時の民生用リチウムイオン電池市場のシェアは、三洋電機(当時)、ソニー、松下電池(当時)に次ぐ世界4位だったが、現在は世界首位の座を堅持している。 サムスングループが手がける事業が、日本企業のシェアを奪っていることは数多くのメディアが報じているが、実際にサムスン社内ではどういった戦略が採られていたかは知らない読者の方が多いと思う。本コラムでは2回にわたり、なぜサムスンSDIが、日本発祥のリチウムイオン電池で首位に躍り出たのかについて、実際に同社内で技術経営に従事した立場から分析してみたい。 部材メーカーとの関係を改善 筆者が
9月10日火曜日午後、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センター。企業発足を目指す若者達が集まり、マイクを持って事業プランのプレゼンをしていた。 本サイトの読者は、野心に燃えた優秀な若者たちがベンチャー企業やNPO(非営利団体)を立ち上げようとしている、といったストーリーを想像されるかもしれないが、今回はそのご期待に添えない。 実は、そこにいた全員が「ニート」だった。厚生労働省の定義では、ニートとは15~34歳の非労働力人口のうち、学生と専業主婦を除き、求職活動をしていない人を指す。 ニート全員が取締役になる企業 彼らが議論していたのは、年内設立を目指す「NEET株式会社(仮称)」の事業プランだ。ここでは希望するニートが、全員取締役になる。参加資格は「厚生労働省が定義するニートの条件にだいたい合致する方」だ。 6月の説明会には200人が集まり、ネット中継は約3000人が視聴した。
統計学やデータ分析がブームだが、数字算出だけでは仕事は前に進まない。それを共有するITシステム、行動につなげる人材、戦略を決める経営と多角的に動いてこそ、データが生きてくる。データ分析が、人材の活躍の場を広げて、企業競争力を高めるには何が大切か。データ経営を実践する企業の現場と経営者らから考える(全6回)。 2013年9月下旬。ヤマトホールディングスは延べ床面積約20万平方メートルの巨大物流拠点「羽田クロノゲート」を稼働させる。24時間稼働、最新のマテハン機器の導入による発着同時仕分けを可能にする。海外から輸入した部品をジャストインタイムで国内拠点に配送できるメリットを生かし、企業間物流事業にも本格的に参入する。8月に稼働した「厚木ゲートウェイ」や、今後中京、関西で建設予定の国内物流向けスーパーハブを活用し、大都市間での即日配送体制も強化。総額2000億円を投じて国内外を高速で結ぶ物流網を
本連載では米ビジネススクールで助教授を務める筆者が、世界の経営学の知見を紹介して行きます。 さて、最近はとかく「グローバル」という言葉をよく耳にします。メディアでこの言葉を見ない日はありません。「グローバル化」とか「グローバル企業」とか、最近は「グローバル人材」という言葉も流行っています。 正直、これらの言葉にやや食傷気味の方もいるのではないでしょうか。その理由の1つは、そもそも「グローバル化」とは正確に何を指すのか、「グローバル企業」はどのくらいいるのか、などの基本知識を我々が十分に共有していないからかもしれません。 実は、近年の世界の経営学では「グローバル企業はほとんど存在しない」という主張がされています。それどころか、これは学者たちのコンセンサスになりつつあると言ってよいかもしれません。今回は、なぜこのような議論が起きているかを紹介しましょう。 そもそもグローバル企業とは? そもそも
小平 和良 日経ビジネス上海支局長 大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。 この著者の記事を見る
自我を強く持った人ですと、他人から横やりを入れられることを好まないものです。ある程度の要望を言われて仕事を受けたとしても、「過剰サービス」だと思ってしまいます。報道を通して見ているだけですが、黒田さんはハッスルしているみたいで、それが少し気になりますね。 とにかく「常識人」としてやってほしい。(金融緩和を)やめる、やめないという判断について、(安倍晋三首相の)期待に応えることをベースにするのでなくて、黒田さんが専門家として、自分で考えて決めてほしい。当たり前のことなのですが、本当にそれができるのか、報道を見ていると不安になります。 安倍首相は日銀との連携を強化すると言っています。でも、つい10年ほど前には、「日銀の独立性が重要だ」と議論されていました。中央銀行の独立性を強化するという話はどこに行ってしまったのでしょうか。 藻谷:時代と状況が変わったんでしょうかね。でも、中央銀行の独立性は、
たいへん長らくお待たせしました。復活、「若輩者」連載です。就活突入直前に原稿を書き終えた大学3年生諸君はいま、それぞれの戦いの最中にあったり、あるいは内定を祝っていることでしょう。 今回は、体育会系の男子学生ふたりが気づいた「ニッポンの会社」の、文化系サークル出身者にとって恐るべき実態をリポートしてもらいます。思い当たる節がありすぎて怖いです(編集Y) はじめまして。某私立大学生のH、そしてMと申します。3月現在で3年生、絶賛就職活動中(残念ながら、内定は未だ)です。 就活を始める直前に日経ビジネスのYデスクから「難しいことはいいから、学生目線で社会を見た記事を書け!」という、ありがたい機会をいただきました。そこで私たちは、大学生にとっていちばん悩ましい課題である「就職活動」と自分が所属している「体育会」をテーマに書いてみることにしました。拙い文章と思いますが、最後までお付き合いいただけれ
石黒 千賀子 日経ビジネス編集委員 日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。 この著者の記事を見る
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン (前回から読む) コスト等検証委員会が昨年12月に取りまとめた報告書のポイントの解説の第2回目に当たる今回は、将来の主要電源として期待が高まる再生可能エネルギーの発電コストと普及ポテンシャルに焦点を当てて紹介したい。 2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故を契機に、政府は昨年夏、原発への依存を低減すると同時に、省エネルギーを進め、再生可能エネルギーの比率を高め、化石燃料をクリーン化する、という新たなエネルギー戦略の基本理念を示した。 この基本理念を具体化するための中長期的な戦略・計画を夏までに策定するに当たり、原発が果たしてきた電力供給の穴埋めを再生可能エネルギーは、いつ頃までに、どの程度まで果たすことができる
物事に大きな影響を与える前提なのに案外知られていない。その一つがコンピュータソフトウエア投資とソフト開発技術者の所属先に関する日米の差である。 日本企業は自社で利用するソフトのほとんどをIT(情報技術)企業に開発させているのに対し、米国企業はソフトを内製する比率が高い。 日本のソフト開発技術者の大半はIT企業に所属するが、米国のソフト開発技術者の大半はIT企業ではなく一般企業に所属している。 上記二つの文は同じことを言っている。日本企業は社内にソフト開発技術者をあまり抱えていないためIT企業に外注するが、米国企業は社内にソフト開発技術者がおり内製できる。 「ほとんど」「高い」「大半」では曖昧なので数字を補足する。米国商務省経済分析局の数字によると、2010年の米国民間企業におけるソフトウエア投資の内訳は、内製(自社開発)が37.3%、外注(他社委託)が34.2%、パッケージソフト購入が28
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