ノンフィクション作家・魚住昭氏が極秘資料をひもとき、講談社創業家・野間家が歩んできた激動の日々と、日本出版界の知られざる歴史を描き出す大河連載「大衆は神である」。 講談社の歴史を追い続けた連載も、いよいよ最終盤。激動の時代を乗り越えてきた第4代社長・野間省一の言葉は、はたして現在の講談社に生きているのか――? 終章 戦後民主主義と講談社ジャーナリズム(2) 『月刊現代』のころ この連載も終わりに近づいている。 ここでちょっと、個人的な話をさせていただきたい。 私は今から4半世紀前の平成8年(1996)夏、主夫兼フリーライターになった。野間省一が没してちょうどひと回り経ったときである。いま考えてみると、私も省一の残した空気のなかで仕事をしてきたこと、そしてそれはきわめて幸せなことであったことに、いまさらながら気づいたのである。それを「講談社ジャーナリズム」と称しても、あながちまちがいではない