<亡くなった長谷川慶太郎氏は生前、アジア経済の将来になど幻想を持つな、日本経済がアジアを圧倒する日が再び来ると主張してきたが、それは誤りだった。今こそ、アジアを見下す傾向、見下したい欲求を克服すべきだ> 経済評論家の長谷川慶太郎氏が9月3日に亡くなった。 長谷川氏の膨大な著作のうち、私が読んだことがあるのは私が大学生の頃に刊行された『さよならアジア』(ネスコ、1986年)の一冊のみで、それも読んですぐにゴミ箱に収納したので、長谷川氏の業績について評論するような立場にない。 ただ、『さよならアジア』は印象的だったので、だいたいの内容を記憶している。長谷川氏いわく、いま(1986年)「アジアの時代が来る」なんてもてはやしている人がいるが、そんなのは幻想だ。アジアを見渡せば、貧しい国ばかりであり、政治も腐敗している。それにひきかえ日本経済は絶好調であり、アジアのなかの日本はまるで「掃き溜めの鶴」
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