お酒の神様、バッカスが現れて、「一人でキャンプ。焚き火の前で、お前が一番旨いと思う酒は何かな?」と尋ねたら、私は何の酒を選ぶのだろうか。 ■木に宿るのか心に宿るのか 静かだ。遠くを走る車の音か、風が枝を揺らす音だけ。 そもそもソロキャンパー2人だけで贅沢にキャンプ場を使っているのだから。 近いのも気を使うし、また1番遠くに張るのも何か避けているようで気まずい。 変な気を使うのがおやじソロキャンプ。 静かな夜 焚き火の炎が急に燃え上がる。妙な炎の動き。 バッカスだ。 バッカスが来る。 燃え上がる 「今宵のウイスキーは、決まったかな。」 そう目の前のライトアップされた木から聞こえてくる。 バッカスの声が妙に懐かしい。 何故、学校橋では来なかったのかとの私の問に、 「あの夜、私はあの場にいた。私の声にお前が気付かなかったのだ。」 このバッカスの言葉の意味を私が理解するのは、かなり先の話になる。