少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少は、日本社会が直面している喫緊の課題だ。しかし一方で定年退職後も健康で活動的な「元気高齢者=アクティブシニア」は65歳以上の高齢者全体の約9割を占めていて(※)、その大半は何らかの形で就労を含む社会参加をしたいと考えている。こうしたアクティブシニアを新しい労働資源と捉え、ICT技術を用いてジョブマッチングなどの就労支援を行おうというのが、東京大学先端科学技術研究センターの檜山敦氏が進める「高齢者クラウド」の取り組みだ。日本の労働市場の変革にもつながる構想についてお聞きした。 檜山 敦 2006年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。東京大学IRT研究機構特任助教、同大学院情報理工学系研究科特任講師などを経て、現在、東京大学先端科学技術研究センター講師。2017年4月より理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダーを兼務。複合現実感