日本の地震学、改革の時 Nature 翻訳記事 東京大学のロバート・ゲラー教授は「日本政府は、欠陥手法を用いた確率論的地震動予測も、仮想にすぎない東海地震に基づく不毛な短期的地震予知も、即刻やめるべきだ」と主張する。 ロバート・ゲラー氏の論文より 「想定内」の地震とは何なのか。それは、日本政府の地震調査研究推進本部(以下、推進本部)が仮定した、地域ごとの固有地震を指していると思われる。そこでは、それぞれの地域に対して、断層パラメータなどを入力データとして、確率論的地震動予測地図を導き出している(地図を参照)。 確率論的な地震動予測地図といえば信頼性が高いようにみえるかもしれないが、予測に用いられた手法が検証されるまでは、単なるモデルにすぎない。この地図で最も危険だと評価されているのが、東海、東南海、南海という3つの地域の「シナリオ地震」である。しかし現実には、1979年以降、10人以上の死