「その国で気の遠くなるような昔から食べ続けられたものを、たとえ異民族のぼくでも、その土地へ行ったときは、その土地のものをとるほうが、その国の気候などいろいろと考慮すると、もっとも安全である。それに、体にいいと考えているからだ。 もちろんはじめて食べるものもあり、日本人の体にはなじんでいないものもある。しかし数日もいるとなじんでくる」 世界中を巡りながら、50年に渡り各国の料理を食べ歩いている写真家・西川治さんは、自著『世界ぐるっとひとり旅、ひとりメシ紀行』の中で、こう綴ります。 本書では、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアと世界各国で西川さんが食したそれぞれの料理、そのエピソードが写真と共に綴られていきます。 “三食ともすべてカリーだった”というのはインドでのこと。 インドをひらすら縦断して、インド料理の神髄にせまろうとした西川さんでしたが、北へ行っても南に行けども、カリーばかり。イン