解説:「失敗の本質」最初の事例、強気一辺倒の参謀の行く果ては? 今年80周年を迎えたノモンハン事件。「事件」と銘打たれているが、日ソ両軍で計約4万5000人の死傷者を出した、れっきとした戦争だった。昨年もNHKの8月企画で取り上げられ、中心人物の著書が最近復刊されるなど、話題は尽きない。それは、戦争に表れた大日本帝国陸軍の特質がそのまま、その後の太平洋戦争に持ち込まれたからでもある。いわば帝国陸軍の「宿痾」が如実に表れたといっていい。「事件からは多くの教訓と示唆が得られたはずであり、物量を誇る米英との大東亜戦争に対する貴重な教訓になるはずであった」(戸部良一ら「失敗の本質」)。しかし、実際はそうならなかった。それはなぜか。そして、その特質は80年たったいまも、日本人の組織や集団に付きまとっているのではないか。それがノモンハン事件の持つ現代性だろう。 ガダルカナル島の戦い、インパール作戦に続