人間の全遺伝情報をもとに診断や治療を行うゲノム医療の世界的な第一人者、米シカゴ大の中村祐輔名誉教授(67)が本紙のインタビューに応じ、新型コロナウイルスへの対応で日本の医療は「崩壊が起こりつつある」と強い危機感を示した。対策についても「科学的な分析が足りない」と述べた。 (聞き手・市川千晴、三輪喜人) -院内感染が国内各地で起きている。 院内感染が起きれば、医療関係者の入院や濃厚接触者の自宅待機で医療供給体制が崩れ、病院が機能しなくなる。ほかの病院にもしわ寄せがいく。がん研有明病院(東京都江東区)では、新型コロナへの対応でがんの手術ができない病院の患者を受け入れ、週末にも手術する体制を組んでいる。感染者だけでなく、がん患者らへの医療も逼迫(ひっぱく)する。 -救急医学会が「救急医療の崩壊を実感」との声明を出した。 院内感染を避けるため、感染疑いがある患者の受け入れ拒否が増え、限られた救命救