シュレディンガーの猫 量子力学では、対象とする物理的なシステムの状態は、状態ベクトルΨで表される。この関数には、(微視的な原子の結合状態から巨視的な物体の運動に到るまで)物理学的に観測可能なすべての状態に関する情報を含めることができる。ある時刻t0の状態がΨ0であるシステムが、別の時刻tにどのような状態になっているかは、量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式を使って、完全に計算される。 問題は、こうして計算された時刻tの状態Ψが、一般に、「物理的に区別できる」状態の重ね合わせになっているという点である。例えば、放射性原子核が、はじめにΨiという状態にあったとして、1時間後の状態を計算すると、放射性崩壊を起こしている状態Ψaと起こしていない状態Ψbの重ね合わせになっている。式で書くと、 Ψi→caΨa+cbΨb となる。ΨaとΨbという2つの状態の(数学的な意味での)“重み”は、そ