撮影に入る前の嘉納伝助についてのイメージは、明治の男の典型みたいな人物で、ちょっと横暴で頑固、あまりいい感じの人ではなくて、どちらかというと悪役なのかなと思っていました。しかし、撮影が進んでいくうちにその印象はしだいに変わってきて、愛すべき男だなと思えてきました。 ツルハシ1本から財を成してきた伝助には、お金にものを言わせているところもあるし、独裁者的なところもあります。ほかの人から見れば横暴だったり、ワンマンだったりするのでしょう。でもね、とても純情な男です。 一途に蓮子さんのこと愛している。お見合いの席で一目ボレだった。よくよく考えると、伝助の行動はすべて、蓮子さんをこの上なく愛しているところから生まれています。命がけで愛している。ただ、女性の愛し方を知らない。芸者遊びはしても、ちゃんと女性と恋愛してきたことはない人なのでしょうね。女心を知らないし、理解も出来ない。恋愛に関しては極