みんながブラジル――。8月開幕のリオ五輪に向け、こんな言葉を掲げたブラジル政府のキャンペーンを巡って、同国連邦検察は、ただちに停止するよう大統領府に勧告した。深刻な不況や政治の混乱が続いているにもかかわらず、「大統領や政府への好意的な感情を抱かせる」と批判。「五輪さえ開けば、すべての不幸が消え去るかのような印象を与える」と指摘している。 勧告は12日、中部ゴイアス州の検察庁が出した。政府は昨年12月から、「みんながブラジル」と題した五輪用の宣伝キャンペーンを開始。政府のホームページでビデオを公開し、市民やスポーツ選手の映像を交えて「人種や思想、宗教が違っても国民は一つ」「私たちは2億人のチーム」などと呼びかけてきた。 担当検察官はこの内容について「明らかに政治的、イデオロギー的で、大統領と政府を利するだけのもの」と痛烈に批判。年間10%超のインフレ率や約9%の失業率、年間5万8千人の殺人件