朝日新聞出版 2009年11月 中島梓氏の死にいたるまで一年弱の闘病記。 読んでいて気が重くなってきた。闘病記であるからではない。変な民間療法に走ったりすることもなく、急に回心して受洗するなどということもなく、闘病記としては(とてもおかしな言いかただけれども)まともなものである。にもかかわらずなんとも言えない気持ちになってくるのは、その時々の経過の記載から医者として著者の予後がよめてしまうからである。しかも書いている中島氏自身はそれが予測できていないことも記載から読み取れる。それで読んでいてやりきれなくなる。 中島氏は膵臓癌で亡くなった。ひょっとすると、この記事に何かの検索からたどりつく膵癌の患者さんあるいは家族の方もいないではないかもしれない。そういう方に以下に書くことは希望をあたえる内容ではないかもしれない。患者さんに「希望をも処方する」のは医療者の仕事の一つである(中井久夫「臨床瑣談
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