ブックマーク / magazine-k.jp (6)

  • 丸にCの字を書きたくて

    落書きのためのスペースは教科書の欄外余白だった。文ごとに、つまりどのページにも、左右そして上下に、ここに落書きをしなさいと、僕を誘ってやまない余白があった。上下の余白は横長のスペース、そして左右のスペースは縦長であり、幅は狭いけれども縦につながり横に広がり、四方をぐるっと取り囲んでもいる余白は、まさに落書きのためのものだった。表紙と裏表紙のそれぞれ内側は、腕の見せどころの入魂のタブローのための、特別なスペースだった。 そして落書きのための時間は、授業中がもっとも好ましかった。それ以外の時間にどこへ落書きしようとも、なぜかあまり面白くなかった、という体感が記憶の底にかすかにある。授業中の生徒がなにをしているのか、教壇の先生からはよく見えた。前の席の女性の背中に隠れて、教科書の余白に落書きに余念がないという至福の時間に、「おい、カタオカ、なにしてるんだ」と、先生の声が終止符を打っていた。 教

    丸にCの字を書きたくて
    kodaif
    kodaif 2010/03/24
    "狭いけれども縦につながり横に広がり、四方をぐるっと取り囲んでもいる余白は、まさに落書きのためのものだった。表紙と裏表紙のそれぞれ内側は、腕の見せどころの入魂のタブローのための、特別なスペースだった。"
  • マクミラン対アマゾン、バトルの顛末

    1月29日の週末、何の予告もなしに米アマゾンのサイトから大手出版社の一つ、マクミランのが急に買えなくなった(マクミランはドイツのホルツブリンクを親会社とし、傘下のインプリントには、一般書のセント・マーティンス、SF/ファンタジーのTor、文芸のファラー・ストラウス&ジルー、ノンフィクションのヘンリー・ホルトなどを持つ)。断片的な事実関係が明らかになるにつれ、キンドル版Eブックの価格を巡る争いが発端になっていたことがわかった。 アメリカで約2年前から発売になったキンドルは、パソコン画面よりも目に優しいEインク、パソコンにつながなくても1分以内に買ったタイトルをダウンロードできるG3ネットワーク、通信費はアマゾン持ち、などの理由で着実に浸透していった。読書好きの人にとって何よりも魅力的なのが、ハードカバーならどう安くても20ドルはする売れ筋の新刊の多くが、キンドル版なら屋に足を運ぶこともな

    kodaif
    kodaif 2010/02/10
    "「バトルごっこ」がうまくできなくて話し合いが感情的になりやすいし、意見の対立が即、人格否定になりがちだし、ガチンコで本音を出さないで解決しようとする分、後でストレスが溜まったりするのではないだろうか"
  • 日本産アニメ・マンガの違法流通について考える

    電子書籍元年」とも言われる今年、年頭から電子書籍をめぐっていろいろとニュースが舞い込んでいる。たとえば「電子書籍へ大手が大同団結」(Asahi.com)は、キンドルに代表される読書専用端末の到来による市場変化を見越した大手出版社の「日電子書籍出版社協会」(仮称)設立の動きを伝えたものだ。 わたしはマンガ専門の出版エージェントや翻訳をしている仕事柄、電子書籍には人並み以上の関心をもっている。しかし電子書籍を(たとえ専用端末上であっても)消費者にお金を出して積極的に購入してもらうには、ネット上に流通している「著作権者に無断でアップロードされ、その気になれば誰にでも無料で手に入る違法コンテンツ」がなくなることも同様に大事だと考えている。 監視団体による調査報告 ここにアトリビューター(Attributor)というネット上の違法コンテンツを監視する団体が1月14日付で発表した、ネット上の違法コ

    kodaif
    kodaif 2010/01/21
    "「日本産アニメやマンガは無料で手に入るもの」という認識がファンの間で“常識”となり、人気作品が数十万、数百万単位で違法に視聴され、読まれていることを知っても、「このままでいい」と思う著作権者は少ない"
  • 欲しいものを手に入れたら

    今日は一年で最も日が短く(注・原文はif:bookに2009年12月に投稿された)、ニューヨークはじきにぬかるみに変わる一面の雪に厚く覆われており、この世界にがっかりしないでいるのは難しい。民主党はヘルスケア改革を法案を通すためと称して骨抜きにし、オバマはコペンハーゲンで何ら意義あることを成し遂げられず、アフガニスタンでの戦争が10年代にも続くことが明らかとなり、銀行屋どもは見たところ何も有益なことをしていないにも関わらず百万ドルのボーナスを手にし、メキシコシティーがニューヨーク州よりも先に同性愛者の結婚を合法化している。 ゼロ年代の終わりとなる12月になり、何が達成されたか、また何が達成されるはずだったかの両方を振り返りたくなる。何かしら実現するはずだったのにと思うと失望は一層深くなるものだ。一年前、オバマがゼロ年代の長いトンネルの終わりを照らす光に思えたように。 今年は、電子書籍が5年

    欲しいものを手に入れたら
    kodaif
    kodaif 2010/01/13
    "ハードカバーと比較して電子書籍を発売する日付や、単一のディストリビューターに独占権を認めるかどうかなんてことを議論しているからだ。それは特に面白い話じゃないし、この5年間を念頭に置けばなおさらである"
  • 「未来の本」のために必要なこと

    今年のクリスマスの日、アメリカのアマゾン・コムではついに、キンドル用の電子書籍の売り上げが紙のを上回ったそうです(アマゾンのプレスリリースはこちら)。キンドルに対抗してクリスマス商戦前に売り出されたバーンズアンドノーブルの電子書籍リーダーNookも人気で、品薄が伝えられています。こうした報道を見ると、アメリカではそろそろ電子のが、紙のと同様に生活に根づきつつあるのだな、と感じます。 ここに掲載したイラストは、漫画家のさべあ のまさんに、以前、私が編集をしていた『季刊・とコンピュータ』という雑誌の「未来ののつくり方」という特集のなかで、「2100年の」というテーマで描いていただいたものです。来年は「2100年」ではなくまだ2010年ですが、このイラストのなかで夢見られている機能のうち、すでにいくつかは実用化されています。しかし、いまだに私たちの目の前に「未来の」は登場していませ

    kodaif
    kodaif 2009/12/28
    "出来のいい電子書籍リーダーがあるだけでは不十分です。出版社や書店といった出版界の既存のプレイヤーの積極的な参入、とりわけ出版社による、電子書籍リーダーに向けた継続的な出版活動が必要です。"
  • 「コルシカ」騒動の教訓

    書籍や雑誌の電子化を考える上で、2009年は忘れられない年になるだろう。 たとえばGoogleブック検索をめぐる、米国の著作者・出版社の集団訴訟。和解自体が決まったのは2008年10月だが、今年2月に和解内容が「通知」された。それまで“海の向こうで決着した裁判”程度にしか思われていなかったのが、日の著作者・出版社も和解当事者だと判明し、ご存知の通りの騒ぎとなった。 米アマゾンの電子書籍リーダー、キンドル(Kindle)が日でも入手可能になったのも今年だ(……と言っても、米アマゾンへ注文できるようになっただけだが)。日の出版社が参加しての「日版」ではないため、キンドル用に日語の電子書籍を買えるわけではない。ただしキンドルがPDFを表示できるようになったため、『青空文庫』に所蔵された著作権切れ作品をPDF化して、日語のを読むのは可能になった。 日でも、携帯電話向け電子書籍の配信

    kodaif
    kodaif 2009/12/22
    "事例を“著作権を知らない無謀な試み”と決めつけて忘れでもしたら、出版業界は次にもまた慌てることになるだろう。コルシカを“ライバルの 種”として意識すべきである。同じ発想のサービスは必ずまた登場する"
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