昨日紹介した『失われた場を探して―ロストジェネレーションの社会学』について、もう少しだけ補足をしておきたいと思いました。 この社会学者が書いた一般書、あるいは一般人にも読みやすく書かれた研究書を一読してよい読書をしたときの満足感を得た私でしたが、「売れるかなあ、できるだけ多くの人に読まれるといいなあ」と思いながら、届く範囲は限られているだろうなという諦念もあります。広告宣伝には限りがある小さな出版社から出た本ですし、テーマに現代性は大いにありますが、マス向けの商品としてはやはり真面目すぎて地味ではあります。ですが、こうした本が売れなかったら、本を作ること自体に意義があるとは言えないなあとまで考えてしまいます。 ロストジェネレーションを生み出した経済の不調は、社会の構造自体を不可逆的に変化させているという全体像を著者は提示します。これを実証するために本の中で緻密に観察されているのは、就職にま