第2章第2節2.では、今回の金融危機で、先進国をはじめとして我が国の輸出が急減したことを踏まえ、今後大いに拡大すると考えられる新興国の中間層の市場(ボリュームゾーン)の獲得を検討していく必要があること、また、ボリュームゾーンを獲得していくためには、従来型の高機能高品質の製品販売戦略だけでなく、低価格帯における相対的な品質の高さ・サービスの展開等が必要であることを述べた。 ここでは、従来とは異なる発想に立った、低コスト化技術、マーケティング、生産プロセス等を可能とするイノベーション(「ボリュームゾーン・イノベーション」)を生む企業努力を促進するとともに、そうした経営モデルに必要となりうるライセンス生産、投資、現地生産、利益還流等の推進に資する政策を紹介する。 アジアの相互理解と経済連携の促進に向け、経済産業省と文部科学省は、“アジア人財の優れた知性と能力をアジアの未来のために活かす”ことを目
第2章で見たように、今時金融危機前までは輸出主導による戦後最長の景気回復をしていたにもかかわらず、日本経済の世界におけるシェア(比率)は低下している。我が国GDPの世界に占めるシェアは、一時は米国に次いで約18%を占めていたが、1995年以降年々低下して2008年には8%にまで落ち込んでおり、今後もさらに低下を続けることが見込まれる2。IMFは、2010年には中国が名目GDPで日本を抜くと予測するなど、日本の「世界第2位の経済大国」としての地位も残りわずかとなっている3。また、国民の豊かさを示す指標の一つである1人あたり名目GDPも、OECD加盟国中で3位(2000年)から19位(2007年)と急落している。IMD(国際経営開発研究所)の国際競争力ランキングにおいても、日本の総合順位は調査が開始された1989年から5年連続で1位だったものの、その後徐々に順位を落とし、1998年に20位にな
2008年9月の金融危機発生後、世界各国の経済情勢が急速に悪化する中、新興国経済も大きな影響を受けているものの、先進諸国に比較して成長の勢いは強い。例えば、中国、インド、ブラジル、ロシアという、いわゆるBRICs諸国の2008年の経済成長率はいずれも5%を超えており、2009年の経済成長率も中国が6.5%、インドが4.5%と、先進諸国がマイナス成長となる中で、高い成長が見込まれている1。また、2008年11月の金融危機対応策検討時にはワシントンにおいて、先進7か国(G7)に新興国を加えた主要20か国2を中心に、金融・世界経済に関する首脳会合が開催され、さらに2009年4月に開催されたロンドン・サミットにも同じく新興国を加えた20か国が参加し、世界経済における新興国の存在感を示している。参加国のうち、新興諸国11か国3の世界の名目GDPに占めるシェアを見ると、1998年には14.4%であった
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