「一射絶命」という言葉をご存じだろうか? 弓道における正しい心のあり方を示す言葉である。ベースボール・マガジン社発行『一射絶命』(ケネス・クシュナー著)には、この言葉の意味をこう記してある。 「どんなことにでも、自己のすべてを尽くしてぶつかってゆくのだ。どんなことも、この世でただ一つのこととして行うのだ。弓で言えば、この一本の矢を射ることが一生で一度しかないこととして、すべてをこの一箭にかける」 この言葉がまさに似合う、一打に懸ける男の姿が、今シーズンのセ・リーグにある。 広島・前田智徳である。 現役生活21年、イチローをはじめとした幾多の一流打者から「天才」と一目置かれながら、故障でシーズンの多くを棒に振った孤高のヒットメーカー。常に全力プレーを心掛け、自分を厳しく律する彼の姿は弓道の心に似ている。 その前田智が、ここ数年で一番の活躍をしている。 特にこの1週間の彼の活躍は、広島ファンの
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