盛商サッカー部の部室にて歓談する斎藤先生(左)と加藤さん。いささか意外な顔合わせだが被災地への思いは同じ【宇都宮徹壱】 5月16日、東北取材のベースとしている仙台から東北本線に乗って盛岡に向かう。目的地は、岩手県内の高校サッカーの名門として名高い、県立盛岡商業高校。校内には、第85回全国高校サッカー選手権優勝の記念碑が飾られてある。グラウンドに向かう途中、すれ違う女子高生が次々と「こんにちは!」とあいさつしてくれて、何だか気分がよい。それにしても普段、育成の現場に縁遠い私が、なぜ盛商の校門をくぐることになったのか。それは、選手権優勝当時のチームを率いていた斎藤重信先生を訪ねるためだ。ちなみに斎藤先生は、今年の春に定年退職となり、今はサッカー部の総監督としてチームを見守っている。 グラウンドでは、赤と白のユニホームを着た盛商の選手たちが、盛んに声を出しながらボールを追いかけている。コーチの