以前より報道媒体が増え、以前より鮮明な映像が撮れ、以前より長々と手の込んだ解説がなされているにもかかわらず、物ごとの本質や背景が以前より見えにくくなった。 橋下徹大阪市長(42)をめぐる報道がそうだ。テレビはケンカ上手の風雲児を挑発し、ファイトを映し出すことには熱心だが、背景説明や是非、善悪の判定は中途半端に終わる。 怪物市長が政界再編なり国家改造なりでどういう役割を担うかということが、津々浦々、興味本位に論じられ、主な問題は住民自治に属するという基本が見失われていく。 橋下は先月、市の全職員を対象に労働組合と政治活動に関するアンケートを実施した。「特定の政治家を応援する活動に参加しましたか」など22問。業務命令につき、記名して回答せよと高飛車に出た。 当然、批判が噴き出した。憲法19条(思想・良心の自由)および28条(勤労者の団結権)に違反、労働組合法7条3(労組に対する支配・介入の禁止