トランプ大統領誕生とイギリス国民投票によるEU脱退決定(Brexit)はグローバリズムへの反発であるという言説が優位になりつつある。これは大筋では同意できる部分が多々あるのだが、「反グローバリズム」や「グローバリズムの終焉」という言葉が飛び交うようになると、これらの言葉の中に明るい未来への革命的な変化への期待が見え隠れするところがどうも気になる。これは現在のトランプ・Brexitにある負の局面を巧みに覆い隠してしまうことにならないか懸念している。 英米のBrexitとトランプが、これまで両国が行っていた移民労働力への依存・自国民使い捨ての政策が長く続いていたために社会に歪みが蓄積し、それをリーマンショック後も放置してきたことに大きな原因があるという意味では、確かに移民依存社会における揺り戻しの一つの動きではある。 多少話がそれるが、筆者がこれまで英国で観察している限りでは、英国社会の自国民