前編より続く 女性の労働問題は特殊ではない。「一億総活躍」は「活用されて捨てられて」? 労働組合は女性の敵? 日本型雇用研究の第一人者とジェンダー研究の権威による白熱の激論、その後編です。 企業にとって変わるための「動機」とは? 『働く女子の運命』 (濱口桂一郎 著)上野 オイルショックからバブル期までの「失われた20年」も、労使協調による社内リストラだけで乗り切ってしまったから、構造自体は何も変化していません。そのツケが今になって回ってきている。政治家も、労働者も、経営者も、これまでの成功体験に目がくらんだままなのですね。 濱口 オイルショック時には男性正社員を守った一方で、パートやアルバイトから優先的にバサバサ切って、難を逃れた企業も多くありました。 上野 でも当時問題にならなかったのは、婚姻と人口の状況が違っていて、家族というバッファーの厚みが違っていたからです。婚姻率が高く、婚姻の