勝った方が優勝するとは限らない 私が子供のころ、佐田の山(さだのやま)という相撲取りがいた。最終的には横綱まで上り詰めた強豪力士である。しかし、当時の相撲界には圧倒的な強さを誇る大鵬という大横綱がいた。佐田の山はこの大鵬になかなか勝てなかった。 しかし、当時大関だった佐田の山は、1964年9月場所から1965年1月場所にかけて、3場所連続で13勝2敗という好成績を挙げ、しかも3場所目の1965年1月場所には優勝も果たして、ついに横綱に昇進したのである。 もちろん横綱昇進は立派なことだけれど、「とうとう佐田の山も大鵬という壁を乗り越えて、横綱にまでなったか」と思った人はいなかった。なぜなら、その3場所すべてで、佐田の山は大鵬に負けていたからである。 15人の力士と対戦して、一番多く勝った力士が優勝する。だから、優勝するためには、必ずしも全員に勝たなくてもよい。そのため、大鵬と佐田の山の直接対
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